内容説明
松本清張賞受賞作『一朝の夢』姉妹篇。あの“朝顔同心”が再び登場!
ときは前作から遡ること5年。ひとりの植木職人が殺され、物語の幕が開きます。江戸を襲った安政の大地震、相次ぐ付け火――。朝顔栽培が生き甲斐の同心・中根興三郎は、一見無関係なこれらの事件に潜む真実を暴けるのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
25
【図書館】「一朝の夢」の姉妹編。一朝の夢の年前に遡る、朝顔同心・中根興三郎、登場編である。前巻が賞狙いであった為、一作に纏め過ぎたきらいがあった。今回は伸び伸びと描いている。朝顔栽培を役務と並行してやっている興三郎、植木職人の殺人に巻き込まれてしまう。そこへ、安政の大地震が重なるように起こる、震災後のゴタゴタが先の「大震災」につながる。どうにか希望を持って生きよ、と作者の声が。そういえば、植物好きになったのは生きる張りが無くなった時、芽が出るまでと種を植えたのが最初だった。生きるを考えさせてくれる物語だ。2020/01/11
み
22
朝顔同心さんの、前作の何年か前のお話し。前作ほど政治絡みでなく読みやすかったです。もう一作あるようで、良いご縁があるのか気になります。2022/04/16
タツ フカガワ
22
北町奉行所で閑職勤めの、通称朝顔同心の中根興三郎の『一朝の夢』の続編(物語の時系列ではこちらが先)。植木職人が斬殺され、興三郎が探索を手伝うことになる。そんなとき安政の大地震が襲い、事件の探索は一旦頓挫するが……。朝顔に始まり、朝顔で終わる物語の妙がいい。中根家の下男藤吉が「ぼっちゃん、定町廻りみたいですぜ」と、その活躍を、洟をすすり上げながら喜ぶシーンが好きです。2018/04/06
gachi_folk
18
天災はさまざまなものを奪って行くが、未来までは失わない。人は生き、町は必ず再生する。長屋の軒先で、通りの端で、ひっそりと咲く朝顔は元気と復興のあかしとなり、その景色は人と未来をつなげる。2019/06/27
ふぅ
7
朝顔同心こと興三郎殿。「一朝の夢」を読んで少しあいてしまって…あれから5年前の話。興三郎殿はこんなに頼りない感じだったかしら。もっと謎ときに積極的ではなかった?…(それはないか) 新種の朝顔を咲かせる事にはどれだけの魅力があったのだろう。黄色い花はどうだったかな。また「一朝の夢」読みたくなってます。2019/04/17