内容説明
【第61回毎日芸術賞受賞作】能登半島の突端にある孤狼岬で発見された記憶喪失の男は、妹と名乗る女によって兄の新谷和彦であると確認された。東京新宿では過激派集団による爆弾事件が発生、倉木尚武警部の妻が巻きぞえとなり死亡。そして豊明興業のテロリストと思われる新谷を尾行していた明星美希部長刑事。錯綜した人間関係の中で巻き起こる男たちの宿命の対決。その背後に隠された恐るべき陰謀。迫真のサスペンス長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
470
★★★★★ 爆弾テロ事件をきっかけに、公安警察・殺し屋・過去の事件が複雑に絡み合うハードボイルド警察小説。 公安刑事の倉木は、妻を爆殺され、独自に犯人を追う。一方で右翼の暗殺者、百舌は身内のはずの組織に命を狙われて記憶を失っている。捜査一課の大杉や明星美希らも其々の立場で事件を探り、彼らはやがて公安内部の闇に迫っていくという話。 二転三転するストーリーは読み応えがあり、キャラも魅力的で面白かった。特に百舌は冷酷な殺人鬼だが、何故か応援したくなってしまった。個人的には大杉が1番好き。あんた良い刑事だよ。2026/05/17
サム・ミイラ
396
禿鷹が非常に面白かったのとドラマ化と表紙の良さから購入。昔の作品ながら古さを感じさせない内容には驚いた。ストーリー自体は南米の政治テロに纏わる陰謀劇でハードボイルドさは禿鷹以上。十分現代にも通じるものだった。但し意図的に時系列を後先することでカタルシスもあるかわりに読み難くなったのも事実。かなり混乱するので要注意。クリストファー・ノーランの映画みたいだ。テロリストのパラソルに似ているという意見が多いが、私はマークスの山に近いように思う。続編はまたそのうちに。2015/02/01
mapion
386
新宿で起こった爆弾事件の被害者の一人は、公安刑事倉木の妻だった。岬で怪我を負い記憶喪失になった男は、右翼団体から殺人を請け負っていた。果たしてその男が犯人なのか。捜査チームから外された倉木は単独で捜査を進める。犯罪者側も捜査側も登場人物が丁寧に描かれ、特に倉木の闇を背負った感じが緊張感を誘う。時間を前後させて場面を置いていることがあるが、遡って明かされることで驚きが生まれる。その辺りの演出は巧みで、二転三転と進展する感じを味わえる。後半に殺人犯百舌視点の語りがあり、彼の切ない叫びを聞くことになる。2026/06/25
またおやぢ
291
“百舌”のコードネームは、反応的に殺人を犯す事や、鋭利な刃物で刺殺をする事を、百舌の捕食行動になぞらえての事か?時系列展開が頻繁にある事で、ストーリーに奥行きを与えたところがセンスの良さ。20年たっても色褪せない面白さがある一冊。しかし、終盤になってバタバタと登場人物が増えて、しかもそいつらが重要な役回りを演じているという設定は如何なものか?2014/05/10
stobe1904
266
【百舌シリーズ 再訪】20年以上前にリアルタイムに読んで面白かった印象は残っていたのだが、内容は全く忘れていた。爆弾テロ事件と警察内部の暗闘やせめぎ合いが微妙に交錯しながら、スピード感を増しながらストーリーが展開していく。スケール感、人物造形、緊迫感のあふれる展開など、文句のつけようのない傑作だと再認識した。時をおかずシリーズ2作目を読むことにしよう。★★★★★2020/03/21




