内容説明
宝永4(1707)年、突然大爆発を起こした富士山は、16日間にわたり砂を降らせ続け、山麓農村に甚大な被害をもたらした。ときの関東郡代・伊奈半左衛門忠順は、農民の窮状を救うべく幕府に援助を強く要請した。だが、彼が見たものは被災農民を道具にした醜い政権争いだった――。大自然の恐怖を背景に描く、著者会心の長篇時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
78
宝永4年富士山は大爆発を起こし、16日間にわたり砂を降らし続け、山麓農民に甚大な被害をもたらした。関東郡代伊那半左衛門は、農民の窮状を救うべく幕府の要請する。しかし、彼が見たのは被災した農民を道具にした醜い権力闘争だった。富士山の大噴火に翻弄される農民と悲惨な姿とその現実を知りながら、自己保身や権力に固執する武士の生き様に怒りを覚えた。せめてもの救いは、伊那半左衛門の存在、公私を超えた彼の生き方には、心が揺さぶられた。どんな展開が待っているのか下巻が楽しみだ。2026/02/11
優希
52
富士山の宝永噴火の物語でした。莫大な被害を助けるべく動いた伊奈半左衛門。幕府に援助を頼んだものの、彼が目にしたものは醜い政権戦争というのが皮肉ですよね。大自然の恐怖は下巻でどうなるのでしょうか。2023/08/10
Book & Travel
41
1707年、富士山が最後に噴火したいわゆる宝永噴火の顛末を描いた作品。冒頭から、記録を元にした噴火の生々しい描写が強く印象に残る。江戸でも火山灰が降り、富士山の東、駿東郡と足柄上郡では場所によっては降砂が1m以上堆積し、壊滅的な被害を受ける。当地を治める小田原藩と幕府は救済に乗り出すものの、それを政争へ利用しようとし、他人事の役人たちの姿にも呆れるばかりだ。対照的に、被災地を任された関東郡代・伊那半左衛門の奮闘ぶりが胸を打つ。新井白石と対峙する場面は特に読み応えがあった。復興事業の難しさを感じつつ下巻へ。2025/11/09
kawa
38
宝永の富士山噴火(1707年)で何メートルもの火山灰におおわれ瀕死の危機に見回れる農民たち。そんな惨状を横目に権力争いに明け暮れる幕府官僚たち。そんな中で農民の救済に奮闘する関東郡代・伊奈忠順(ただのぶ)が主人公の歴史小説。手に汗引き込まれで下巻へ。2023/05/03
金吾
36
○迫力のある話です。被災民の餓死や兆散を防ぎ、土地を復興させようとする伊那郡代の孤独な戦いに読みながら感情移入をしてしまいます。それにひきかえ幕府高官たち悪辣ぶりにはどの時代も変わらないのかなとも思いました。2022/08/23




