内容説明
面白いのである。面白いだけでなくやがて哀しいのである、と山本夏彦氏が絶賛した異色歌集。「尻舐めた舌でわが口舐める猫好意謝するに余りあれども」「出前なし話し相手はさらになしもういくつ寝れば来るお正月」「『ハンサムでおとなしくっていい猫ね』動物はみな飼い主に似る」……。自称「目医者、うた詠み」、妻に逃げられ、猫と暮らす著者が、過ぎし日々と飼い猫にゃん吉への愛を諧謔に託して詠んだ全380首。浜野孝典が描く郷愁あふれるイラストをあわせ、一冊とする。
目次
にゃん吉くん
バツイチのうた
ダメの人
映画百年
猫じゃ猫じゃ
ワーク・ソング
恋に似たもの
中年エレジー
ドリフターズ・メドレー
日本外史〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まるる
18
『尻舐めた舌でわが口舐める猫 好意謝するに余りあれども』この歌に惹かれて読んでみました。40代バツイチ男性の愛猫にゃん吉への愛と、独り身の寂しさ、子供の頃の懐かしい思い出等を、飾らない言葉とユーモアあふれる表現で詠んだほのぼの短歌集。虹の橋に行ってしまったにゃん吉を思う歌は分かり過ぎて、何度読んでも涙がこぼれてしまいます。猫飼いさんに呼んでもらいたい歌集でした。2013/06/12
ホレイシア
4
ご本人がおっしゃっているように、100円で買おう。
はち
3
猫短歌ばかり。猫好きにはたまらないし、仕事の歌も恋の歌も日常の歌もあり飽きさせない。猫はかわいい。この人の歌は昔読んでたけど、自分が詠むようになってまた違う味わいを楽しめた。もうこの人歌詠みしないのかな?短歌クラスタにはおすすめ!2012/12/23
留吉
2
作者の愛猫にゃん吉を詠んだものから、独り身の侘しさ別れた妻への未練、ノスタルジックな子供の頃…結構バラエティーに富んだ題材。挿絵が可愛いのと、何といってもにゃん吉関連の歌が猫好きにはたまらん。あとがきの歌が一番ぐっときたなぁ。2013/02/17
にがうり
2
似たような境遇の共感半分、男と女の違い半分。文庫版あとがきのにゃん吉を詠んだ歌に、死んだ相棒猫を思い出してグッときた。たった28文字に、すべての思いが凝縮されていて、短歌って、こういうものなのね。2013/02/16