文春文庫<br> 室町少年倶楽部

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文春文庫
室町少年倶楽部

  • 著者名:山田風太郎
  • 価格 ¥540(本体¥491)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167183158
  • NDC分類:913.6

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内容説明

蹴鞠で遊んだ少年の日よ何処。将軍足利家の後継者・三春丸と、その後見人である少年管領・細川勝元。みずみずしい生命力に富むふたりを取りまく権力闘争の機略。十五歳の少年に二十五歳のお妾を取らせる策略合戦。出家を望む三春丸に仕掛けられた秘策が引きおこす花の御所の奇々怪々。歴史的事実に大胆な創作を加えることで浮きあがる人間の真実を、破天荒に描く風太郎節益々快調! 表題作のほかに「室町の大予言」を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

36
籤引きによる将軍選びから嘉吉の乱までを描く『室町の大予言』と、その籤引き将軍義教の子義政の幼少時代から応仁の乱までを描く『室町少年倶楽部』と室町時代を舞台にした作品が収められています。『魔界転生』のような荒唐無稽さはないのですが、その分、虚実入り混じった歴史小説としての面白さが際立って感じられたように思います。先日読了した『太平記』で馴染みになった武家や公家たちの子孫が活躍するのもうれしいところ。輝かしい少年時代から遠くに来てしまったことに気付く『室町少年倶楽部』の最後がほろ苦くてよかったです。2017/01/05

ヨーイチ

15
山田風太郎の室町物は初読。多くの読書子が高評価を与えているシリーズらしい。作者晩年の集大成と言ってもいいと思う。この版は中編が二本。「室町の大予言」と表題作が収録されている。どちらも上質な歴史小説と言って良い?まあ、定義にもよるが。室町時代って何故か影が薄い。英雄が少ない。後の戦国時代が華々しいのに比べると一目瞭然。大スターの義満だって実は金閣寺と能楽とセットで知っている位が普通の様な気がする。こういうハンデを負いながらも、二編とも重層的な面白さに満ちている。続く2014/04/18

紅花

8
初、山田風太郎さん。義正と勝元の二人の主人公なのかしら?頼朝が築いた武士の時代も、やや安定期。公家から政権を奪うわけでも無く、室町時代は贅沢三昧、つまらない時代のようなイメージが強いけど、社会が発達していくその一過程に生きた、二人の対照的な生き様が面白かった。社会の一員としてなら、勝元の勝ちなんだろうけど、「人間の生」という意味ではどちらが幸せなんだろう。どちらが人間らしい生き方なんだろう??「箱根の坂」の北条早雲も出てきて、戦国時代へ新たな価値観で突入できそうだわ。2014/07/17

ひこまる

8
「室町少年倶楽部」最初は三春丸(足利義政)を主人公にした少年冒険小説かと思いました。怪しげな者もおりましたが周りの温かい人々に支えられた三春丸は幸せそうでぼくも微笑ましい気分になりました…が、彼が成人するとともに文体は変わり一気に話は生臭くなっていく。お今の色仕掛け、山名宗全のごり押し、細川勝元の潔癖、そして義政の現世への虚無感など様々な人間の底無しの欲望が絡まりあい時代は一気に乱世に突入する。冒頭のそれぞれのキャラを崩すことなく、なおかつ人間の業の深さを更に際立たせた効果は実に見事だと思う。(続く)2012/10/30

サケ太

7
非常に面白かった。山田風太郎による歴史の別解。万人恐怖と称された籤引き将軍足利義教、赤松満祐の運命を決める予言書。皮肉な結末。後の世との奇妙な一致。「室町の大予言」。八代目将軍足利義政や細川勝元、富子たちの穏やかな少年時代から描かれ、徐々に登場人物たちが変容し、文体さえ変わっていく。そして最後の義政の叫びが胸に響く。「室町少年倶楽部」。なんとも凄まじい。歴史の虚と実が描かれているのだが、自分はそれを判断できない。ただただ、文章に圧倒された。人とはこのようにみにくいものなのか。正気なのはだれか。2015/02/13

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