文春文庫<br> 妻と娘の国へ行った特派員

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文春文庫
妻と娘の国へ行った特派員

  • 著者名:近藤紘一
  • 価格 ¥495(本体¥450)
  • 文藝春秋(2012/05発売)
  • ポイント 4pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167269074
  • NDC分類:916

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内容説明

インドシナ情勢を的確にとらえ、繊細な視線で人間の生を見つづけた報道記者・近藤紘一。ノンフィクションの真髄を味わわせる著作と爽やかなまなざしは今も多くの読者を魅了してやまない。彼はサイゴン、バンコクの特派員として東南アジアの人々の喜怒哀楽や生活につねに関心を向け、ベトナム人の妻と娘を通じてこの地域との縁はいっそう深まったが、惜しくも四十五歳でガンに斃れた。複雑な国情と厳しい風土に生きる人々のダイナミックな姿を活写したこのエッセイ集は遺作となる。

目次

「4月1日」クーデター
密林の中の“共和国”
サイゴンのナイトクラブ
アンコールワット断章
滑走路の暗殺
殿下のポロ競技場
シンガポール夜話
女帝ガンジーの悲劇
山羊を殺す
ベテラン記者の死
ばくち好き
サイゴンの釣り師たち
「お化け」が住みにくい国
CIAと長屋の人民軍
集団の厄介さ
与那国島へ
2度目の亡命
2倍と10倍の差
相続税のない国
ピストルと家賃
アランヤプラテートで
飛び込んできた雷さま
清潔すぎる?シンガポール
スッポン、ワニ、ニシキヘビ
ペナンのホテルで
タイの中の外国人
バンコクの日本人

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

makimakimasa

9
愛すべき自堕落の都サイゴンに尊敬するホーチミンを重ねて「これ程そぐわない名称は無い」、アンコールワットの魅力は「王の狂気の栄華と、それを腐食させ死滅させた禍々しい密林の溶解力との、鬼気迫る調和」、ベトナム難民を保護した与那国島民に対し都会は「一人一人は優しく親切だが、がんじがらめの管理社会、組織社会の中で、人々の自然の心情は出る場を失い、摩滅していく」。東南アジアの人間らしさ、喜怒哀楽に魅かれ、現象を追いながらも思索を続けた。物事の本質を掴み取る方法論として、ジャーナリズムと文学が溶け合った世界に住んだ。2020/09/02

ホレイシア

6
今でも読み継がれているのは、嬉しい。2008/01/04

とらまま

2
これでお別れか!と思いながら読み返した。今の日本にこそいてほしかったな。 2012/08/27

みかん缶詰

1
あとがきにぐっと胸が詰まった。彼のあとがきは1月20日に書かれ、そしてその後26日に亡くなっている。最後の最後まで筆を執り続けたその姿勢に打たれた。そして内容は素晴らしい。雑誌で書いた文をまとめた一冊であるが、第一章は特派員らしい鋭い視線でその国と人々を観察している。歴史が一つの体だとしたら、彼はスパッとそれを切って中にある人々の凶暴性と優しい朴訥な面を鋭く書き記している。独特な感性と広い視野、そして回転の速い頭脳が書き上げた文章には魅了される。彼が亡くなってしまったのが残念でならない。鼻の奥がツンとする2022/02/25

hiratax

1
近藤紘一著作をタイかベトナムへ行くたびに読んできたのだけれど、本作は海外で読む最後の著作となる。近藤の著作は旅の携行本でも終わりの方に読むことがあって、最終日近くか、帰りの飛行機か、あるいは京成電車の中まで持ち越すこともある。ベトナムの路上ジュース屋台で、氷がぎっちりとつまった金色ラベルのレッドブルを飲みながら読んだ著作は何だっただろうか。多作な人であるが若くして亡くなっているので、もう続きは読めないのだという事実を確認するのは切ない。2016/06/01

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