内容説明
アメリカ人夫婦が遊びにくる――にわかに甦る敗戦前後の記憶とあやしげな日米親善、そして屈折したアメリカに対する心理をユニークな文体で描く「アメリカひじき」。昭和二十年九月、三宮駅構内で死んだ浮浪児が持っていたドロップ罐のなかに収められた白い骨。それにまつわる兄妹の哀しい記憶を綴った「火垂るの墓」。昭和四十二年下期直木賞受賞作の二作品に加え、「焼土層」「ラ・クンパルシータ」「プアボーイ」など、“焼け跡・闇市派”の異名をとる著者の代表作を収めた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
60
空襲などで親が亡くなったり生活に追われて無責任になったりする中、子供らだけで生き延びようとする懸命な姿。饒舌な語り口だが、悲惨な生活や死にどこまでも向き合おうする抑制された筆致もあって、特にやはり「火垂るの墓」が名作と感じた。野坂自身の戦争体験でもあり、生々しくもあり、深く悔いることもあって、敢えて客観的な叙述に徹したのだろう。それが作品の質につながってるのか。2025/04/09
里季
9
【直木賞作品】イベントのため登録。アニメ「火垂るの墓」を見てから、息子が買った本で読む。原作は、アニメとは少し話が違っていたが、冒頭、大阪の駅で糞尿にまみれながら息絶えていく清太の酷い姿が心を打った。兄妹の戦争によって無残に打ち壊された、家族の幸せな日々。いつ思い出しても涙。毎年放映される「火垂るの墓」を視ては涙する。「アメリカひじき」については、ほとんど記憶にない。
やいっち
8
親が亡くなったり生活に追われて無責任になったりする中、子供らだけで生き延びようとする懸命な姿を饒舌な語り口だが、悲惨な生活や死にどこまでも向き合おうする抑制された筆致もあって、特にやはり「火垂るの墓」が名作と感じた。野坂自身の戦争体験でもあり、生々しくもあり、深く悔いることもあって、敢えて客観的な叙述に徹したのだろう。それが作品の質につながってるのか。2025/04/09
月並
3
表題作が気になっていたので、読みました。最初は文体に慣れず戸惑いましたが、慣れるとすらすら読めるようになりました。「プアボーイ」が好きです。2018/03/06
侃侃
3
引き込まれてしまうのは、たぶんその雑文、悪文のせい。爆撃なんて想像もできないのが僕の世代の本音で、僕はこれを読みながらクッキーをポリポリ食ってた。2012/03/11