内容説明
オカルト界のシャーロック・ホームズの異名をとるジュール・ド・グランダン傑作選。初めての奇妙な味、懐かしの奇妙な味。
著者等紹介
クイン,シーバリー[クイン,シーバリー][Quinn,Seabury]
本名シーバリー・グランディン・クイン。1889年ワシントン生まれ。現在のジョージ・ワシントン大学ロースクールを卒業。第一次大戦中は陸軍に従軍した。1917年に短編Painted Goldでデビュー。「ウイアード・テールズ」誌に創刊号(23)から寄稿した。25年にジュール・ド・グランダンものの第一作「ゴルフリンクの恐怖」を発表。その後、二十七年間に渡り九十三篇のド・グランダンものを書き続け、「世界でもっとも有名なオカルト探偵」と評された。69年没
熊井ひろ美[クマイヒロミ]
東京外国語大学外国語学部英米語学科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アカツキ
12
教授でありオカルト探偵でもあるジュール・ド・グランダンが超自然的存在が関わる事件を解決する人気シリーズから著者が初期作品から10作品を取り上げた自選短編集。どれも面白かった!エキセントリックなポワロといった感じのグランダンが好き。ロマンティストのグランダンは「ウォーバーグ・タンタヴィルの悪戯」「眠れぬ魂」と愛し合う二人に慈悲を与える(「ウォーターバーグ~」は若干問題のある結末で驚いた)が、悪漢には容赦がなく「死体を操る者」では仲良しの刑事と組んで…。モンスターより呪いよりグランダンが一番怖い。2022/06/23
miroku
7
1900年代前半の作品。レトロである。2013/11/05
moon-shot
4
心霊探偵の古典。1920年代のアメリカが舞台ですが、探偵のグランダンはフランス人。ポアロも顔負けの気取った態度と蘊蓄で新大陸の人々を煙に巻きます。出てくる妖怪亡霊の類も、古代エジプトの悪霊、ブードゥー、ポルターガイスト、人狼、吸血鬼と多彩。超自然現象を使った犯罪ではどうやって犯人を有罪にするのかが問題ですが、さすがはアメリカで、その辺はコステロ警部がグランダンと意気投合してお仕置き係に。「奴は階段を落ちたんじゃありませんか?」「確かに落ちましたとも。二度。一度めはまだ息がありましたんで。」警部、それって…2024/06/30
伊佐奈
4
オカルト探偵ものとはいえ、あんまりおどろおどろしい内容ではなかった。グランダンが凄い行動派なせいかな。語り手兼助手は医師なのだけど、グランダンも医師だからほぼ専属運転手と化してしまっている(笑)。あと一向に住処を見つけてこないグランダンにすっかり居着かれてしまっているのもどうなの。2014/01/07
qoop
3
口が悪くて気取り屋で自信家…という主人公が、力技で奇怪な事件を解決していく連作。本シリーズの特徴は、悪霊や吸血鬼などをあくまでも物理的な存在と措定している点。そのため、怪物退治も即物的描写にほぼ終始。とはいえオカルティックな雰囲気もそこそこ保っているため、独特な風合いを醸し出している。2010/09/23