内容説明
アナール派歴史学の旗手として中世社会史ブームを生みだした著者が、政治史・社会史・心性史を綜合して中世とは何かをはじめてまとめた記念碑的著作。アナール派の神髄を伝える現代の古典、ついに邦訳。
目次
第1部 西欧世界の歴史的進展(蛮族たちの定着(五~七世紀)
ゲルマン人の組織化の試み(八~十世紀)
キリスト教世界の形成(十一~十三世紀)
キリスト教世界の危機(十四~十五世紀))
第2部 中世文明(闇の中に輝くもの(五~九世紀)
中世の空間的・時間的構造(十~十三世紀)
生活の物質的条件(十~十三世紀)
キリスト教精神と西欧社会(十~十三世紀)
中世の人々の思考と感情(十~十三世紀)
永続性と刷新(十四~十五世紀))
著者等紹介
ゴフ,ジャック・ル[ゴフ,ジャックル][Goff,Jacques Le]
1924年トゥーロン生まれ。高等師範学校を卒業。プラハ、オックスフォード、ローマ留学後、パリの高等研究院教授。『アナール』誌編集に携わり、現代歴史学の進展に主導的役割を演じる
桐村泰次[キリムラヤスジ]
1938年、京都府福知山市生まれ。1960年、東京大学文学部卒(社会学科)。現在、フランス語の歴史書などの翻訳に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
10
マルコ・ポーロが描いた東方世界のように、中世西方世界を読んだ。目次からもわかるけれど、本書は百科全書といえる。なぜイギリス人が名付けたように「暗黒の1000年」だったとイメージしてしまうのか、空間・時間・精神をからめた筋道だった論述により、すごく腑に落ちた。19世紀のロマン主義に彩られた憧憬としての中世は瓦解される。著者がいみじくも言及しているように、本書を読み終えたあと、タイムスリップしてみたいとは絶対に思わない。ホイジンガの「中世の秋」が到来する前の時代を扱っているので、補完されたと思う。重たかった。2023/01/22
かりあ
8
面白かったー!かなり勉強になりました。https://www.kariabookdiary.jp/entry/2019/06/10/2233112019/06/10
陽香
1
200712202015/05/31
ヴィクトリー
1
西欧中世史の全体の雰囲気を知るのに、一冊で済ましたい、と言う場合はこの本がよいのではないだろうか? 政治的な通史はさらっとなぞるだけなので、そういうものを求める人には不向きだが、社会史重視でありながらバランスよくまとまっている。 所々に鋭い切り口があり、歴史家の視点と言うものが歴史の著述にとって如何に重要なものかということを知らされた気がする。2011/01/06
彬
0
西欧における中世がどのようなものであったのかを、分かりやすく書き出している。年代ごとに分けているのではなく、原因から過程、結論へといたるのは読んでいてとても分かりやすかった。2010/02/18