内容説明
―私が死んだらこの信託預金を彼らに譲渡してほしい。請け負った銀行は彼の死が近いことを知るが、相続人のひとりが行方不明だった…。銀行の緻密な調査によって、相続人それぞれの思惑が徐々に暴かれていく。副頭取のサッチャーを探偵役に据え、ユーモアを交えてウォール街での事件を描いたレイサンのデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
20
ウォール街のアガサ・クリスティの異名を持つ女性コンビ作家のデビュー作。章題が全て経済金融関係の用語なのもこの作家らしい。米国人作家で、米国が舞台だが、信託預金、行方不明の相続人など、いかにも英国ミステリ好みの題材で、いつの間にか探偵役を務めることになった主人公の銀行副頭取サッチャーのキャラも英国紳士的。この作家のユーモア感覚が好き。サッチャーが真相に辿り着くきっかけが偶然に依るものなのが、少し気になるが。寧ろサッチャーの観察眼の鋭さを示しているのかも。被害者のキャラが特異だった。2010/01/18