著者等紹介
イェリネク,エルフリーデ[イェリネク,エルフリーデ][Jelinek,Elfriede]
1946年、オーストリア・シュタイアーマルク州ミュルツツーシュラークに生まれる。ウィーンで育ち、ウィーン大学で演劇学と美術史を専攻。60年代末に作家としてデビュー。ことに小説『したい気分』や『欲望』はベストセラーになり、また『ブルク劇場』や『トーテンアウベルク』『雲。家』『杖、竿、棒』『レストハウス』などの戯曲で、目下ドイツ語圏でもっとも注目を集めている作家である。ベル賞やビュヒナー賞等々に続いて、2004年にはノーベル文学賞受賞
谷川道子[タニガワミチコ]
1946年生まれ。東京外国語大学教授。ブレヒトやミュラー、ピナ・バウシュを中心としたドイツ語圏現代演劇・表象文化が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のほほんなかえるさん
1
読むたびに違う印象を得る不思議な戯曲。(二部の「死と乙女」は別の形で再構築もされている。)言葉がどう語られるのか。語ることで何がそこに生成されうるのか。語り手と対象の距離、さらにそこに透けて見える劇作家の眼。伝統的にはH・ミュラーに属すのかもしれないが、T・S・エリオットの詩を読む時の感覚に近い印象を受ける。作家の視座に類似したものがあるのかもしれない。などと散漫に考えてみたりしながら…。2012/08/27
ディヴァイン
0
シューベルトの歌曲をモチーフにしており、死んだ女優が語り出すことから始まるイェリネクの戯曲。戯曲の形式をとりながらも、戯曲にする気はないというが充分に戯曲にしてみてもよい作品だと思うし、楽しめられる。イェリネクが織り成す言葉の密度と語りには圧倒される。2009/03/16
MaRuTaTSu
0
「文学の甘美さにささげたひたむきな理想主義のせいで、あなた方はそのつどちょっとずつ愚かしくなっていった。でも最終的にすべての付けは、いつも私のところに回ってきた。本来は詩人たちに回るべき付けなのに。私のほうがもっと深くてましなものを仕上げることができたからの。私の顎からは今でも脂が滴り落ちる。実際にはあなた方は言葉の代わりに私を受け取ってきたの。それはあなた方の思い違いで、私のじゃない。私は私の理想をあなたたちよりもまともに使ってきた。」(24頁)