内容説明
よい文章を正確に書き写す。それは、学問するための基礎体力を養う。読み書き教育は“からだ”を育てることなしにはあり得ない。その意味で、体育なのである。学生は他人の文章をその通りに書き写し、一点一画、一字一字を意識する。学生に書き換える自由はない。この不自由が学生に語の異同を意識させる。学生は語の選択について闘い始める。文章の書き手との論争をするに到る。“からだ”に読み書きさせる実験授業報告。
目次
序論 なぜ視写を課したのか
第1章 読み書き教育は体育である
第2章 “筆触”とマス目
第3章 写し間違いは思考を刺激する
第4章 「私ならこう書く」―学生の主張
第5章 異同の意識
第6章 “からだ”の鍛え方―早稲田大学「学術的文章の作成」授業と比較する
補遺 「『書く』っていいなあ」