内容説明
寒冷地に紡がれてきた心と暮らしの物語―地球温暖化の影響が最も顕著に現れると予測される極北地域、そこで水そして雪・氷に囲まれて暮らす人々は、その自然環境にどのように対峙し、物語や伝説の中にどう描きだしてきたのか。北方に生きる人々の自然観・世界観をフィールドワークや文献資料を通して垣間見ることで、これからの人間と自然環境の共存のあり方を考える。本邦未紹介の伝説・伝承を多数収録。
目次
第1部 北のことばと語りの世界(アイヌ;ウイルタ;ニヴフ;イテリメン;アリュートル;ユカギール;サハ―民話と伝承;サハ―歌謡と口琴)
第2部 北の神話とフォークロア(ロシア;北方の諸民族)
著者等紹介
山田仁史[ヤマダヒトシ]
1972年生まれ。東北大学大学院文学研究科准教授。専門は宗教民族学・宗教人類学
永山ゆかり[ナガヤマユカリ]
1969年生まれ。北海道大学大学院文学研究科助教。専門は言語学・アリュートル語
藤原潤子[フジワラジュンコ]
1972年生まれ。総合地球環境学研究所上級研究員。専門は文化人類学・ロシア研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文公
6
暑いので涼を求めて手に取った。 イヌイットの民話で、月に住む男の煙草の灰が地表に落ちて雪になる、というのは興味深かった。2021/08/14
masoho
1
「呪われたナターシャ」から著者の他の文献を読んでみたくて本書を手に取った。フォークロアを基本として、言葉などの考察が入る。水雪氷の擬人化が殆ど無いという点は非常に興味深い。キリスト教が入ると途端に画一的になって面白くなくなるが、それはわずかで、そうでない物語の世界観はとても突拍子もなくて面白かった。反対に見れば日本の昔話も充分に飛躍的だろう。世界は広い。2021/07/20
やきそらまめ
1
シベリアの温暖化対策プロジェクトの一環として書かれた本とのこと。文理融合の計画は興味深い。アイヌくらいしか知らなかったけど、色々な少数民族がいるんだなあ。雪や氷があるのは当然なので、取り立てて神格化したり特別扱いすることは少ないことなど、知らなかったことがたくさん。2014/10/01
宵子
0
シベリアの少数民族や、ロシア、サーミ、北欧の民話、神話をまとめたもの。しかも、H2Oに関係する話が多い。ただし、冬の話題ばかり求めると、掲載民話の殆どが水のため、面食らう可能性がある。2016/11/02
工藤 杳
0
彼は女性に近づき、そして「う、う、う」とうめいて死んだ。なんと、彼女の陰部には歯があったのだ。(ニヴフ、51)2016/10/09