出版社内容情報
《内容》 本書は胸部X線写真の読影を臨床の実際の立場に主眼をおいて解説している.「X線写真の撮影条件の見方」から始め,主題の「読影の実際と鑑別診断」では,横隔膜の位置異常,胸郭,心縦隔,肺門,肺野の異常について,それぞれの項でどのような臨床経過,症状があり,社会的背景が関与しているか考え,どのように分析するか,またどのような検査が必要か,そして得られた診断に対してどのような治療を施すべきかまで説いている. 《目次》 目次I.胸部X線写真の撮影条件の見方 1 1.透過度 2 2.正しく正面を向いているか 2 3.患者の全身状態はどうか 4II.読影の実際と鑑別診断 5 1.横隔膜の位置 6 A.横隔膜低位(肺過膨張) 7 横隔膜低位のX線所見 8 横隔膜低位をみた時に気をつける所見と示唆される疾患 11 B.横隔膜高位 16 両側性横隔膜高位のX線所見 17 両側性横隔膜高位をみた時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 19 片側性横隔膜挙上のX線所見 20 片側性横隔膜挙上をみた時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 22 C.胸水 23 胸水貯溜のX線所見 23 胸水貯溜時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 25 2.胸部の異常 30 胸部異常のX線所見 30 胸部異常をみた時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 33 3.心縦隔の異常 35 A.心疾患 35 心縦隔のX線所見 35 心拡大時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 44 B.縦隔の疾患 45 縦隔の異常X線所見 45 縦隔の異常陰影をみた時に気をつける所見と示唆される疾患 46 4.肺門の異常 48 肺門のX線所見 48 肺門部の異常陰影をみた時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 55 5.肺野の異常 57 A.腫瘤(結節)陰影 58 腫瘤(結節)陰影を示す疾患のX線所見 58 腫瘤(結節)陰影をみた時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 59 B.部分的浸潤影 62 部分的浸潤影を示す疾患のX線所見 62 部分的浸潤影をみた時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 70 C.両側び漫性陰影 73 両側び漫性陰影を呈する疾患のX線所見 73 両側び漫性陰影をみた時に気をつけるべき所見と示唆される疾患 86III.症例 93 症例1 激しい胸部絞扼痛に続発した呼吸困難とびまん性の肺野浸潤影を認めた47歳男性 94 症例2 労作性呼吸困難を主訴とし,肺門と肺野のびまん性の陰影を認めた元炭坑夫,52歳男性 99 症例3 数日の経過で,呼吸困難と湿性咳嗽が増悪した心臓弁膜症の58歳主婦 103 症例4 発熱,咳嗽,喀痰と右下肺野の浸潤影を示した81歳男性 108 症例5 アンピシリンが無効であった右下葉の肺炎,41歳男性 111 症例6 心不全の治癒過程で,右下肺野にだ円陰影を認めた84歳男性 116 症例7 発熱,悪嗅のある喀痰を主訴とし,右肺門に重なる空洞陰影を認めた38歳男性 121 症例8 突然の喀痰の増加,呼吸困難,発熱とともに胸腔内にniveauを認めた胸結核治療中の42歳男性 126 症例9 肺炎症状に続いて大量の胸水を認めた56歳男性 131 症例10 分娩時の嘔吐後に発熱・呼吸困難と左肺の広汎な陰影を認めた31歳の産婦 136 症例11 左鎖骨下静脈穿刺後の急激な血圧低下と左肺全体の陰影を認めた78歳女性 140 症例12 胸痛,発熱とともに心拡大と左肺野の異常を認めた45歳男性 145 症例13 急性心筋梗塞,肺水腫に続発した左下葉の浸潤影と左横隔膜挙上,69歳男性 151 症例14 長期間の咳嗽,喀痰に続発した労作性呼吸困難と肺野,胸膜の広汎な異常陰影を認めた工員,58歳 156 症例15 咳嗽,発熱とともに左上肺野,縦隔口異常陰影を認めた31歳男性 164 症例16 肺野に広汎な浸潤影が認められた慢性気管支炎の急性増悪,75歳女性 170 症例17 呼吸困難とめまいを反復し,胸部X線上肺うっ血を認めた64歳女性 178 症例18 乾性咳嗽と肺野の異常陰影を認めた31歳男性 184 症例19 頑固な胸痛とともに胸水と胸膜とり込み像のある腫瘍陰影を認めた86歳女性 188 症例20 強い呼吸困難と起坐呼吸を伴った気胸症例,23歳男性 195 症例21 気管切開カニューラの自己抜管を試み合併症をきたした75歳女性 198 症例22 胸背部の激痛に縦隔の拡大を伴った50歳女性 201 症例23 ペースメーカーカテーテルの位置異常を認めた症例,70歳男性 206 症例24 心陰影の内側にniveauを認めた85歳女性 212 症例25 急性心筋梗塞後の経過中左第4弓の異常をきたした症例,51歳男性 217付1 じん肺申請の実際 225付2 結核病学会病型分類 232付3 肺癌のTNM分類 235索引 236