新潮文庫<br> 東電OL殺人事件

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新潮文庫
東電OL殺人事件

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  • サイズ 文庫判/ページ数 541p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101316338
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

彼女は私に会釈して、「セックスしませんか。一回五千円です」といってきました―。古ぼけたアパートの一室で絞殺された娼婦、その昼の顔はエリートOLだった。なぜ彼女は夜の街に立ったのか、逮捕されたネパール人は果たして真犯人なのか、そして事件が炙り出した人間存在の底無き闇とは…。衝撃の事件発生から劇的な無罪判決までを追った、事件ノンフィクションの金字塔。

目次

第1部 堕落への道(迷宮;幻聴 ほか)
第2部 ネパール横断(山嶺;公判 ほか)
第3部 法廷の闇(目撃;実検 ほか)
第4部 黒いヒロイン(求刑;結審 ほか)

著者等紹介

佐野真一[サノシンイチ]
1947(昭和22)年東京生れ。出版社勤務を経てノンフィクション作家に。主著に、民俗学者・宮本常一と渋沢敬三の交流を描いた『旅する巨人』(大宅賞)など多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

443
事件は1997年3月。当時もその後も大いに世間を騒がせたが、この事件の特異なのは被害者ばかりが注目され、彼女の私生活が暴き立てられたことだ。彼女は慶応の経済学部を卒業後、東電の総合職として勤務するエリートOLだった。その一方で毎夜、円山町界隈で客引きをする売春婦というもう一つの顔を持っていたからである。一方、犯人として逮捕されたのはネパール人のゴビンダさん。警察は、かなり早い段階から予断を持って捜査に当たり、希薄な状況証拠を強引に結び付けていった。本書は、事件の背景を徹底的に検証したルポルタージュである。2018/12/21

遥かなる想い

131
1996年に世を騒がした東電OL殺人事件を題材としたノンフィクションである。被害者渡辺泰子が、昼間は東電のエリートOL、夜は娼婦という2つの顔を持っていたことがわかると、マスコミがここぞと取り上げてくれたので、週刊誌ネタとして私もよく覚えている。本書は ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリの容疑に反論している部分が多く、少し辟易させられるが、執念ともいえる取材の成果である。 2010/05/08

おいしゃん

101
事件名の強烈さと、500ページ超のボリュームに恐れをなしていたが、ようやく手に取れた。被害者は、慶應経済から東電入社、初の女性管理職で年収1000万という、華々しい経歴の持ち主。そんな彼女が、なぜ月曜から日曜まで欠かさず終電まで渋谷のホテル街に立ち、売春を続けたのか。なぜ時には大声を上げてまで追いかけて客引きをし、自ら課した1日4人というノルマにこだわったのか。そして、そもそもなぜ殺されなければならなかったのか。読めば読むほど謎は深まるばかりだった。2015/10/18

ミカママ

99
続編の「症候群」が手に入ったので、再々読。この事件が起きた時、私はすでに海外に出ていたけれど、ニュースを聞いた時のショックは忘れない。著者が認めるように、私もまたこの事件に「発情」していたんだろう。事件をあらゆる角度から検証しているのには好感が持てるが、所々にはさまれる、著者の主観が鬱陶しい。勝手な憶測は、被害者に失礼極まりない内容になっていると思う。私見を言ってしまえば、被害者の彼女は、堕落なんてしてなかったと思う。好きなように生きて、当然の帰結としてそこに死があったんじゃないかな...。続編へ。2014/07/15

ehirano1

93
父への神聖化⇒唯一化⇒絶対化という道をおそらく無意識的に進んだが故の東電OL嬢の悲劇。一概に悲劇の要因がこれだけとは思えませんが、要因の一つではないかと思いました。佐藤優氏が“国家と神とマルクス”の中で「絶対的なものはある、ただし、それは複数ある」と述べていたことを思い出し、「複数」というコンセプトがあれば嬢も救われる余地があったのではないかとも思ってしまいました。2017/04/15

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