出版社内容情報
サイテーな世界で逝きる? 生きる?
イジメと自殺が蔓延する現代日本。この異常事態を「生殖が管理され」「集団自殺が大流行する」SF的世界にスライドさせて、星野智幸が表現。リアルな絶望と怒り、そして希望にあふれた傑作。
著者等紹介
星野智幸[ホシノトモユキ]
1965年ロサンゼルス生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、新聞記者をへて、メキシコに留学。1997年、「最後の吐息」で文藝賞を受賞。2000年「目覚めよと人魚は歌う」で三島由紀夫賞、2003年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とら
36
すごい世界観であることは間違い無く、でもなにも、その世界観にも造語にも説明が一切入らない。こういう所は「電脳コイル」とかに通じるかもしれない。少しSFも入ってる気がするし。「無間道」「煉獄ロック」「切腹」の三篇が収録されているが、共通するキーワードを挙げるとすれば”死”なんだと思う。でも皆本当にあっさりと死を選んでしまうので、異常なことには違い無い。狂気が漂ってる。この世と価値観は確実に違うし登場人物はもう現実に嫌気がさしてる感はあるので共感は出来ないが、確固たるなにかを貫き通しているので好感は持てた。2013/12/23
kanata
21
「方法は問わないが逝くことが当たり前で、“ソロ”よりも”複数”で行うほうが魂が大きくなって好い」「逝った人間が再び戻り、また逝くことがある」「逝体に遭遇した者はそれを即座に焼き、埋葬しなければならない」「道には無数の逝体、群がるカラスやら」人間の個としての機能が失われた時代。生きることが否定されるに等しい常識。無法地帯。なぜ人類はそんなことになったか、まったくわからない。悟りもあったもんじゃない。3編中1編「無間道」のみ読了。ページ数修正済。2019/02/23
readtuktuk
8
日本はいま年間3万人の自殺者がいるそうだけど、この「無間道」で描かれてる社会は、自殺することが標準。〈生きる気力とは、逝く気力。自逝は自生。逝くことは人生の幅を広げる新たな選択肢〉(小説内、登場人物の持論)。街は逝体であふれてる。ホラーでもギャグでもなく精緻な描写で展開されていく。そうとうにその描写はぐろい。でも、この書体、文字組のように清冽。凄烈? まだ最初の一遍を読んだだけなのに、既読者の感想が読みたくてここをチェックしてしまいました。検索して著者インタビューもチェック。以下に。2011/01/19
乱読999+α
6
無間道=煩悩を断ち悟りを開くに至る道。作者曰く「自死三部作」の一つ、先に「俺俺」「呪文」は読んで各々に興味深く考えさせられるものがあったが同様の感想を持った。「表題作」=死への反発と生への執着であったはずが、今の生があるのは既に死を迎えてそれらを反復していた、輪廻転生に行き着くとの発想は不謹慎だが面白い。現在社会の生き辛さ、孤独への恐れ、反面人との関わりの面倒くささを巧みに表現している。他の2作も同様に、死んでも現在からは逃れられない、解放や脱出にはならない。と、訴えている。2017/05/22
ネロリ
5
『今度こそ、本当に今度こそ、この生を全うしよう。もう途中で投げ出すのはやめよう。なぜなら、死んでも死ななくても、苦しい生を生きなくちゃならないことに変わりはないから。』どこまでも続いていく生と死。グロテスクな描写を削いだときに見えるのは、そこここにある景色かもしれないなぁと思った。言い表せない感情に巻かれて寝不足になった。2011/02/09




