内容説明
前五八年以降、数年にわたりカエサル率いるローマ軍が、ガリアからブリタニアにいたる広範な地域をローマの勢力下におこうとして遠征を試みた貴重な記録である。当時のガリアやゲルマニアの情勢を知る上で必読の書として知られ、また、カエサル自身の手になるラテン語で書かれた簡潔にして流暢な文体は、文学的にも高い評価を受けている。タキトゥスの『ゲルマニア』とならぶ古代研究の最重要史料。
目次
ガリアについて
ベルガエ人との戦い
アルプス山岳戦の失敗
ウシペテス族とテンクテリ族の虐殺
第二回ブリタンニア遠征
ガリアの反乱広がる
全ガリアの共謀と首領ウェルキンゲトリクス
ヒルティウスの序〔ほか〕
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
38
インターネットもSNSもない、テレビもラジオもない、新聞すらなかった紀元前1世紀に、これだけの「戦勝禄」を読んだローマ人の胸に湧いたであろう、誇りないし反発を想像すると、こちらにもその興奮の熱が伝わってくるような読書体験となった。例えば、日本の戦国歴史小説なんかを読みなれていると、この『ガリア戦記』はその記述があまりにも簡潔で淡泊に思われ「面白くない……」と感じるかもしれないが、これが紀元前1世紀(日本は弥生時代)の作だということを念頭に置いて読むなら、カエサルの筆力がいかに凄いかは簡単に理解できよう。2022/10/05
ロッキー
29
カエサルが自身のガリア遠征を簡潔な文体かつ客観的に描いた史料。民族うんぬんはごちゃごちゃするので無視すればとても読みやすい構成になっている。第八巻はカエサル以外の人が書いたためやはり劣ってしまう。自画自賛したり我褒めするようなことは書かれておらず、遠征での成功・失敗・ガリア民族について余すことなく描かれており、これを読んだローマ市民の支持率は否が応でも上がってしまうだろう。メディア戦略にも長けているカエサルはやはり別格です。2011/09/08
ヨクト
24
カエサル本人が書いたガリアにおける戦記。様々な民族が登場し、難しい名前が多くて慣れないと読みにくいが、慣れ始めると面白く読める。訳者も良いだろうし、カエサル自身の文才もあるのだろう。しかも彼はこの内容を短期間で書いたのだという。ガリア統治にあたるカエサルのカリスマ性やリーダーシップに驚く、それに彼の行動力もすごい。1年のうちどれだけ遠征にでかけてるんだ。それだけガリア統治は容易ではなかったのだ。2015/12/22
めい
18
カエサルの9年間に渡るガリアとの戦争を綴った本。事前にローマ人の物語の該当部分を予習していたためか、カエサルの文才のためか(おそらく両方)、非常に分かりやすかった(部族は分かりづらいが)。解説も面白い。10万の軍勢で総勢300万のガリア人他と戦い、100万人を殺害•100万を捕虜にしてもあまり評価してないのか。またこの時代にハマってしまいそうだ。2020/05/09
シタン
15
昨年読んだローマ人の物語の持続する熱が冷めないうちに読もうと思ったガリア戦記。カエサルの文体に心酔する塩野さんのあの熱量を思い出しながら読んだが、楽しむところまではいかなかった。専門的に学ばないとこの本の魅力はわからなそう。2023/02/01