出版社内容情報
「歴史の父」の名を冠されるギリシアの史家が述べる,前五世紀のペルシア戦争を頂点とする東西抗争,東方諸国の歴史.著者は,ギリシア人と異邦人とが果した偉大な事跡,両者が争うに至った原因を後世に伝えるべくこれを書いた.何よりもまず正確さが重視され,豊富に織りこまれた説話は長巻を飽かず読ませる魅力をもつ.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きゃれら
20
小説「イギリス人の患者」、映画「イングリッシュ・ペイシェント」で主人公が携帯しており、それそのものがちょっとかっこいいのと物語の中でも重要なアイテムになっていて気になっていた。当時のギリシアにおける「世界」(ギリシア、ペルシア、エジプト、リビア、インド)の歴史が、膨大な聞き取りに基づいて語られている。「まさか」という話もあるけれど、一つ一つのエピソードも面白く、長く読み継がれているのも納得。独裁制、寡頭制、民主制の比較という政体についての議論が載っているのはちょっと驚いた。先が楽しみ。2024/03/12
春ドーナツ
18
手帖を開く。(クロイソスが言うには)「先ず人間の運命は車輪のようなもので、くるくると廻りつつ、同じ者がいつまでも幸運であることを許さぬものだということをご承知なさいませ」(153頁)と抜き書きしてある。喫茶店で黒あめを頬張りながら(煙草の本数を減らす為)、私は何を考えていたのだろう。読書と思索も車輪(メビウスの輪をイメージしている)みたいだと思う。「意志と表象としての世界」でショーペンハウエルも幸運(/幸福)について似たようなことを言っていたなと連想したのだ。一見ペシミスティックだけれど、そうではなくて。2019/04/13
サアベドラ
18
「歴史の父」というより「脱線の父」といっていいくらい話がよく飛ぶ。上巻の主役はアケメネス朝のキュロス二世といえなくもないが、途中で伝聞や体験談がこれでもかと挟まるため、話が取り留めもなく広がっていく。非常に散らかっているけど、それでもなんとか読めてしまうのは語られるエピソードが面白いから。特にメディア王を裏切る将軍ハルパゴスのくだりはヘロドトス流のリアリズムがにじみ出ていて素晴らしい。とにかく長いが、辛抱して読む甲斐のある古典作品。2010/08/20
1.3manen
16
「人間死ぬまでは、幸運な人とは呼んでも幸福な人と申すのは差控えねばなりません。人間の身としてすべてを具足することはできぬことでございます」(32頁)。ラッキーなことはたまにあるが、だからといってそれだけでは人生のhappinessと言えるとは限らないのだろう。若くしてラッキーで老いて不幸もあるので。嘘で相手を納得させて得をする見込みのときには嘘をいう。真実はそれで利得をあげ、相手にも自分を信用させようという目当てもある(333頁)。正直者も嘘を吐くし、嘘吐きも正直者になるのが、同じ人間のやることなのだな。2013/09/19
加納恭史
15
どうもペルシア湾封鎖でイラン経済の崩壊まであと少し。トランプとイランの和平か、このまま封鎖の継続か。現実の展開は予想もつかない。ヘロドトスの歴史も難しい。カンピュセスは精神的に不安定。乱心して挫折。ダレイオスへはすんなり引き継ぎがれない。マゴス僧侶によるペルシア王位簒奪。七人の決起。七人の寡統制と思ったら、ダレイオスの独裁となる。まあ最初に彼の馬が鳴いたからダレイオスになったとか。冗談が歴史なのか、歴史の結果が冗談なのか。そのダレイオスの中央集権や税によれ政治の政策は見事。バビロンやサモス攻略もまた見事。2026/04/29




