出版社内容情報
大賢人ゲドが自分の死と引き替えにアースシーの平和を取り戻して幾年月.すべての力を使い果たし死すらも失った初老の男,それがゴント島のテナーの前に久しぶりにあらわれたゲドだった.彼に残されたものは何か….
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
65
壮大な物語もいよいよ終わりを告げようとしています。レバンネンとの長い旅の中では、ゲドには偉大な魔法使いの姿が見えていました。でも、ここにきて魔法を失っているのです。力がなくなったことを受け入れたゲドの穏やかさ、「弱い者」である女性や子供たちのあり方には心を打たれると同時に励まされるようでした。虐待という傷を負った子供の再生にはどれだけの心が必要なのかが語られ、人の醜さも垣間見たようでした。普通の人間として生きることになったゲドたちに寄り添いたくなります。英雄でなくてもゲドと共に生きたいと思いました。2015/07/14
Die-Go
23
ファンタジー小説の形をとりながら、様々な社会問題を内包しているのがこのシリーズの特徴でもある。今巻で特に顕著なのは虐待問題について。身体的虐待と性的虐待を受けた子どもを登場させることによって、如何に被虐待児がダメージを受けるのか、そしてその再生には如何に力を注ぐ必要があるのかが物語られている。魔法を失ったゲドと共に、普通の人間として生きる難しさを感じさせられる。良書。★★★★★2015/04/26
NAO
19
ゲドの功績を尊敬するファンとしては、どうにも納得のいかないストーリー。どんなに優れた偉大な人物でも、年を取れば蔑まれもするし、誰かの助けを借りなくてはいけない。それは、分かるけれど、こんな話にしてしまったら、今まで戦い続け、みんなのために自分のすべての能力を投げ出したことがすべて無駄だったみたいになってしまう。やっぱり、命がけで頑張った人には、最後までちゃんと敬意を払うべきだとわたしは思う。ゲド戦記のシリーズは3巻までは本当に好きだけれど、この巻は、もう二度と読まないと思う。2015/07/19
ホンダ
8
英雄譚の要素が濃い前作とは打って変わり、一貫した静寂感が物語を包む本作は、中年期に差し掛かったテナーを中心に物語が淡々と進む。特別な環境を自ら捨て普通の生活を選び続けたテナー、無学だが鋭い洞察力の持ち主であるコケばば、あらゆる不幸と強大な力ゆえに忌み恐れられるテルー、力を失い落ちぶれたゲド。虐げられる側の人々への著者の眼差しは優しく温かい。当時老境に近づいた著者が選んだ最終章が美しい幕引きではなく、力無き人々へ寄り添う物語だった事に素直に好感を持った。ラストは思いの外さっぱりし過ぎて、少し拍子抜けしたが。2019/11/23
yoshizawa tutomu
3
ゲド戦記4作目。3作目までのような冒険譚ではなく、人間ドラマ。ゲドの弱弱しいところがお気に召さない人もいるが、ゲドはそんなに強い人間ではなかったと思う。落ち込んで、いじけているゲドもまたゲドらしいと思った。大賢人と腕輪を持ってきた巫女が、ただの男と女として互いに信頼し愛し合う姿は物語の結末としては一つの在り方かもしれない。カーテンコールが終わり、舞台をおりた後のように。でも、まだアースシーの話は残っているので、最後まで読みたいと思う。2018/01/08




