医学者は公害事件で何をしてきたのか

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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000221412
  • NDC分類 498.12
  • Cコード C0036

出版社内容情報

さまざまな公害事件や薬害事件において,無数の被害者たちは疫学の視点からは非常識としか言いようのない論理で切り捨てられてきた.多額の研究費の支給を受けて国や加害企業の側に立った医学者たちの発言や行動を検証する.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ottohseijin

3
水俣病は、食中毒事件として「まっとうに」処理されていたらもっと少ない被害で済んだのだという指摘。疫学はたしかに、医者にとって基礎的な教養なんだけど、年齢が上になるほどよく理解されてないのが現実。2011/10/01

coolflat

1
“食品が有毒化していて多発している病気の原因食品が何であるかという事が確認されている時、その病気の発生を予防するには、その食品を食べなければよい。”正にその通りである。水俣病は食中毒事件として処理すれば被害は拡大しなかった。病気と原因物質(病因物質)との因果関係が解明できない事と病気の発生を食い止める事は別次元である。この因果関係という言葉、様々な公害病そして現在進行中の放射能被曝にも度々使われている。突き詰めれば、因果関係は証明できない。だからこそ因果関係は証明できないという事で延々と議論を続けられる。2012/12/29

更紗蝦

1
「水俣病は食中毒事件である」という著者の指摘は、目から鱗でした。「なぜ、行政と学者が協力体制をとると、環境問題や医療問題の解決が遅れ、その上誰も責任を取らないのか」が、よく分かる本です。原発問題(再稼働問題、放射性廃棄物の最終処分場問題、被曝問題 等)も、おそらくは、過去の環境問題や医療問題と全く同じ経緯を辿るであろうことが予想されます。2013/02/10

Y / N

1
この本の主張は『学者が物質的視野にこだわるあまり水俣病問題の解決が遅れた』ではないようです。それは表面的な現象を捉えたに過ぎない(病因物質にこだわる目的がそもそも『解決を遅らせるため』だったから)。そう考えた時、疫学研究への無理解というレベルを越えて学者と官僚の間の歪んだ構造が浮き彫りになって来ます。後書きに筆者を含めた数多くの方々の絶望が滲み出ていました。【以下メモ】疫学研究は事実を証明する“正当な”手段。基礎研究が要素還元的である以上、限界はある。それを補完するのが疫学研究の役目。日本は『医学研究≒基2012/05/06

gunji_k

1
国・厚生省、熊本県は、水俣湾産の魚介類が原因食品であると知りつつ「すべての魚介類が有毒化しているという明らかな根拠が認められないので」食品衛生法を適応せず、魚介類の採取、流通、摂食等の本来緊急に行われるべき基本的対策を全く行わなかった。もし最初から、疫学的な因果関係の立証で事態を前向きに解決しようとすれば、水俣病は数千人を超える患者に係る泥沼の問題ではなく、1956年の時点で約50名程度の範囲で終わり、充分な対策と救済があり得た可能性が高かった。なぜ公害は拡大したのか?2部6章「繰り返される悲劇」も必見。2011/06/30

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