感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
algon
16
著者72歳から78歳まで朝日新聞に連載されたエッセイ集。後部は病気のため口述になったようなので少々淡白な読後感だったが老境に入った著者の感性を味わえてとても良かった。今を生きる時代感覚のずれを素直に著わしたり疑問を呈したり老境の文筆家はおおむね歩む経路だが水俣と共に歩んだ著者の感覚はまたローカルで北国の自分は面白く読めた。仏さまの出た供養の日は「無常の日」としての御馳走が出る。コゲをわざとたくさん作った握り飯は子どもたちの無上のご馳走であった。この歳になって切に母に逢いたい…胸いっぱいになった言葉だった。2022/02/24