内容説明
怪談小説家、朱雀門出による実話怪談集、第二弾。廃屋めいた屋敷に魅入られた男の顛末「おれんち」、祖父の遺品にあった古びた箪笥、開かない引き出しに隠された秘密「引き出しに目玉」、新しく入ってくるバイトにはなぜか“変なオジサン”が多い。彼らが語る奇妙な話「イルカの首」、机の裏に見つけた落書きの意味が分かるとき…「ブンスウ予言」、朽ち果てた廃村で出会った少女のおもてなし「なまぬるいカルピス」、独占欲の強い彼女を裏切った男は…「ジンダ筋」など36話を収録。脳の奥底に痺れが走る。なんだ、この厭な気配は。読むうちに毒される、それは呪いのように…。
目次
実家が忍者屋敷だった件
おれんち
倉から覗いている
引き出しに目玉
ホタルが怒る
なかなか
水の中に何かがいる話
痣あるお爺さん
メリーさんの館、間違いのこと
誘引〔ほか〕
著者等紹介
朱雀門出[スザクモンイズル]
大阪府生まれ。2009年、「今昔奇怪録」で第16回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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眠る山猫屋
58
朱雀門出さんの文章は、ほんとうに怖い。何故なら正解の無い意味不明な言葉や現象が、唐突に降りかかってくるから。この本でも、ジンダ筋やらホタルの怒りやら、満注意やら・・・。正体は不明だけれど、知りたくもない謎があっちこっちに存在している。この理不尽な恐さは、クセになる(それは僕だけか)。2017/09/01
こら
53
いやー、今回も朱雀門ワールドを堪能でき大満足!この独特の不可思議さ、中毒的!話のマクラというか、語り口も含めて世界観が既に出来てます。今まで3冊読んだけど、「おれんち」、「メリーさんの館、間違いのこと」、「黒い絵はがき」、「りゅうめい」等、今作が1番良作が多かったかな。白眉は「誘引」。先生の醍醐味が凝縮されていて、最恐。2021/09/23
HANA
51
実話怪談集。日常の中にぽんと穴が空いたような奇妙な話ばかりが収められているのが本巻の特徴。奇妙でいてそれでよく考えるとぞわぞわと恐怖が這い登ってくるような話ばかり。「【黒い絵はがき】」と「りゅうめい」と連続で畳み掛けてくる話や「善人Rの秘密」「誘引」等は背後に何かあるのにそれを直接書かないことによって、読者の想像力がおぞましさを倍加させる話はとことん上手い。著者のマクラもとぼけたような味わいを出していていい感じ。ひたすら恐怖だけを追求する怪談もいいけれども、こういう奇妙な味の話も捨て難いんだよなあ。2014/08/13
ゆみきーにゃ
37
《購入》初めましての作家さん。2016/08/11
あたびー
36
ホタルが怒ると怖いんだよ。ぬるいカルピスを飲んだ彼は、よもつへぐいをしたことになるんだと思うんだけど、平気だったのかな?この本が出てからだいぶん年数が経つわけだけれども、この彼とか、分数で予言された件とか、どうなったのかなあと、実話怪談のその後を知りたい今日この頃です。2024/08/30