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『S,M,L,Xl
Subsequent HRD』(洋書)
Koolhaas, Rem【著】
Monacelli Pr(1998-05出版)
ISBN:9781885254863
ブルース・マウとのコラボレーションにより、辞書のように巨大な書籍がつくられ、話題を呼んだ。本書のテーマは、大きさである。SからXLまで、サイズごとに、彼の作品を収録しつつ、「ビッグネス」や「ジェネリック・シティ」などの概念を提唱している。建築が一定の大きさを突破すると、古典的な常識が無効になるという。究極の巨大建築にとって、美学やヒューマニズムは不要なのだ。またジェネリック・シティは、歴史性を喪失したグローバル時代の無印都市である。
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『要塞都市LA』
マイク・デイヴィス【著】、村山敏勝、日比野 啓【訳】
青土社(2001-04-21出版)
ISBN:9784791758784
90年代を代表する都市論。犯罪への恐怖から、監視の体制を強化して他者を排除し、裕福な者が自己要塞化を行うロサンゼルスの状況をあぶりだす。この多民族都市では、近代社会を支えた自由な公共圏が壊れ、ネガティブな未来像がすでに実現されている。“MUTATIONS”でも、サンフォード・クインターがアメリカにおける公共空間の衰弱を指摘していたが、日本も確実に同じ道を進んでいる。 |
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『自由を考える―9・11以降の現代思想』
東 浩紀、大澤真幸【著】
日本放送出版協会(2003-04-30出版)
ISBN:9784140019672
筆者はセキュリティ過剰の空間を分析する『過防備都市』を執筆した際、この本から大きな刺激を受けた。1995年と9.11以降の状況に対して、もはや通用しない古典的な議論で抵抗するのではなく、われわれが奪われている概念そのものを新しく創造することを唱えている。その何かを名づけることを期待したい。
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『スケートボーディング、空間、都市―身体と建築』
イアン・ボーデン【著】、齋藤雅子、中川美穂、矢部恒彦【訳】
新曜社(2006-08-01出版)
ISBN:9784788510142
計画者から与えられるのではなく、いかに能動的に都市空間を使いこなすか。スケートボードの歴史をひもときながら、本書はこうした問題を提起する。都市に身体的なリズムを刻むスケートボーダーは、建築批判の実践者でもある。自らスケートボードを楽しむ著者は、社会的な視点を導入し、サブカルとの交差から、建築史に新しい地平を導いた。
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『メイド・イン・トーキョー』
貝島桃代、黒田潤三、塚本由晴【著】
鹿島出版会(2001-08-20出版)
ISBN:9784306044210
混沌とした東京を再評価する都市観察のプロジェクト。彼らは美/醜などのカテゴリーを外し、有名建築家の作品ではなく、「ダメ建築」から機能的な複合施設を発見する。倉庫の屋上がテニスコートになった「倉庫コート」など、70の物件を紹介しつつ、「異種格闘技」などの興味深い建築的な概念をつむぎだす。すでに海外でも注目されはじめており、桂離宮に代わる新しい日本建築像を提示する。
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『復興計画―幕末・明治の大火から阪神・淡路大震災まで』
越沢 明【著】
中央公論新社(2005-08-25出版)
ISBN:9784121018083
近代以降、日本は、地震や戦争など、大きな破壊を幾度も経験し、その都度、都市の弱点をあらわにしてきた。逆に言えば、そうした災害の後は、理想を反映した大胆な都市計画のチャンスにもなるだろう。越沢明は、幕末・明治の大火から阪神大震災まで、どのような復興が立案され、実現したか、あるいは挫折したかを描く。彼によれば、戦時中の防空も、現代の震災対策も、基本は同じである。燃えやすい木造密集市街地が鍵になるからだ。地震という無意識は、日本の都市計画に大きな影響を与えてきた。
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