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小 笠 原 鳥 類 選
1977年岩手県生まれ。 草野心平の詩集を読み、詩に興味を持つ。生き物に関する語彙を多用し、動物の動き及び、動物の不思議な魅力を言語によって提示しようとしている。1988年頃から雑誌「現代詩手帖」「ユリイカ」に詩を投稿し、1999年現代詩手帖賞受賞。2004年第一詩集「素晴らしい海岸生物の観察」(思潮社、歴程新鋭賞) |
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『げんげと蛙(ジュニア・ポエム双書 20)』 草野心平・長野ヒデ子 著/思潮社 子供の頃に、学校の図書室で読みました。それが、詩との衝撃的な出会いだったようです。
ほほえましいイラストで飾られている本ですが、時々、とても冷たい青い、不気味な美しさが光っているようです。例えば、「冬の詩集」の中の、「雪」という3行の詩。 シグナルの青いランプのところだけ。
ぼんやりあかるく。 雪がふってる。 そこのところの雪はしんしん青い。 これは、冬の幽霊のようなもの? |
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| 『枝と砂』
野木京子 著/思潮社 「枝と砂」、やや奇妙ですが、落ち着いた題名だと思います。 はだがこぼれ、拾い集めることも
からだがこわれ、すくいあげることももう(「地中のものたちと」) <自分>というものが壊れていくことによって、<別のものたち>がやってくるようです。どのページを見ても、詩人が、複数のものたちになって語っているような、意外でめまぐるしい展開がありますが、にもかかわらず、にぎやかさや騒がしさはあまりない。この詩集は、調和した合唱のようにとても静かです。 弱いものたちが静かに声をあげる、流れが旋律になり、川がはじまる(「茎、地下の気配」) ここで、別の世界のものたちの声が静かに響いている? |
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| 『生まれないために』
キキダダマママキキ 著/七月堂 壊れた、ぐちゃぐちゃな言語が、肉、内臓、ゼリー、のようなものとしてそこに散乱しています。 動物はゼリーの詰まった皮袋ゼリー
であり、宇宙ゼリー…、宇宙ゼリー…、(「ゼリー、ゼリー、」) 良識のある<大人>への反発でもあるかのような、極端で挑発的な1冊です。
キキダダマママキキ、という詩人の名前が、途轍もないです。 |
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| 『素晴らしい海岸生物の観察』
小笠原鳥類 著/思潮社 鮫が爆発する。中に水が流される。
青い服を着た数十人の人々がどこからともなく現れ 白い、透明な、天井から吊り下げられる幽霊も。(「鮫が爆発する」) 海岸には、私の知らないものたちが大量に押し寄せてきて転がっています。あるいは、不思議ないきものたちが這っていたり歩いていたり泳いでいたり飛んでいたりじっとしたりしています。私は、涼しい時に海岸を歩き、押し寄せるものたち、うごめくものたちの1つ1つを観察するように、言葉を並べていたと思います。波の中には大量の情報が(たのしいものも、おそるべきものも)漂っています。 |
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| 『モダニズム詩集T』
西脇順三郎・鶴岡善久 編 /思潮社 昭和初期に、このような過剰な、驚くべき言語の塊が、次々に登場してきたのでした。 |
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画像:『北村太郎詩集』
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『北村太郎詩集(現代詩文庫)』
『北村太郎詩集 続(現代詩文庫)』
北村太郎 /思潮社 不気味なものである<死>と向き合うように、重い言葉を刻みつけているようです。(その後の彼の、不吉な軽やかさのある詩は、思潮社現代詩文庫の「続・北村太郎詩集」で読めます) |
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| 『犬塚尭詩集(現代詩文庫)』
犬塚尭 著/思潮社 「南極」は、不思議な魅力(魔力?)で充実している場所であるようです。 |
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『入沢康夫詩集』
入沢康夫 著/思潮社 まがまがしい童謡のような詩、あるいは、不思議な童話のような詩。でも、一筋縄ではいかない<知的なひねくれ>のようなものもありそうです。 |
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『瀬尾育生詩集』
瀬尾育生 著/思潮社 重苦しくて深刻で、困難な問題についての曲がりくねるような考えがあり、そして、とても落ち着いた暗い感動があるようでもあります。 |
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『十字公園』
杉本徹 著/フランス堂 1つ1つの語、1つ1つの文が、とても大切な、静かにきらめくような、いとおしいものとして現れています。 |
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