内容説明
自国の独立など文明論全体のなかでは瑣々たる一か条にすぎない。だが今はその一か条にこそ賭けなければならないのだ―福沢の議論は、西洋文明の歴史と対比しつつ日本文明の伝統を描き出した上で、主権的国民国家の形成という日本国民が直面する課題へと一気につきすすむ。福沢の課題はどのような意味で今日の私たちの課題でもあるのか、またこの「概略」は福沢思想全体のなかでどんな位置を占めるのか、を明らかにして、丸山真男氏の講義は終る。
目次
第十四講 ヨーロッパ文明の多元的淵源 第八章「西洋文明の由来」一┴第十五講 ミドル・クラスの成長と英仏二大革命の背景 第八章「西洋文明の由来」二┴第十六講 「日本には政府ありて国民ネーシヨンなし」 第九章「日本文明の由来」一┴第十七講 諸領域における「権力の偏重」の発現 その一 第九章「日本文明の由来」二┴第十八講 諸領域における「権力の偏重」の発現 その二 第九章「日本文明の由来」三┴第十九講 維新直後の精神的真空と諸々の対応策 第十章「自国の独立を論ず」一┴第二十講 主権的国民国家の形成へ 第十章「自国の独立を論ず」二┴結び 「緒言」と本書の位置づけ┴あとがき