内容説明
自律的に進展する社会と「国家」とのせめぎあいの前近代史を、社会の側からとらえなおす通史の完結編。下巻は南北朝の動乱から地域小国家が分立する時代を経て、日本国再統一までを叙述し、さらに近代日本の前提とその問題点を提示。17世紀前半、武士権力によって確保された平和と安定は列島社会に何をもたらしていくのか?(全3冊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
61
この巻には、建武の時代から江戸時代で日本国を統一したころまでを中心として書かれています。最後の展望には網野先生の第二次大戦から現代までについての意見が集約されています。江戸時代までは、網野先生の得意分野ですが、これくらいの本の限界があり、そんなに細かくは分析されていません。まあ通史ということで、さらに研究したい方はほかの著作を読まれるといいと思います。最後の部分はいろいろ異論のある方もいらっしゃると思いますが、先生の意見も一つの見識です。2015/07/04
i-miya
51
2014.01.25(01/01)(つづき)網野善彦著。 01/24 (p021) (第9章、動乱の時代と列島社会の転換、つづき) (各地の動き) (1)東北・・・足利氏一門の斯波氏、畠山氏が奥州管領でる。その間でも対立があり四部五裂している。 (2)関東・・・鎌倉幕府に対し小山氏が吉野系の皇子を担ぎ出している(第三王朝をもくろんでいる)。 (3)九州・・・鎮西探題、一色は弱体、鎌倉からの守護少弐、大友、島津は従いもしない、九州に入った足利直冬。島津らに支えられた直冬は一色を倒す。 2014/01/25
i-miya
51
2014.01.01(1/1)(つづき)網野善彦著。 12/18 (p021) 三上皇、廃太子、賀名生(あのう)に連れ去られたため、天皇位の継承を行うべき「治天の君」を失った幕府。 老女院、広義門院(光厳、光明の母)を治天の代わりとして6Cのオホド王(後の継体天皇)が越前から出て大王になったという極めて古い時代の先例に準拠してようやく女院の孫、弥仁(いやひと)を天皇(後光厳)にした。 2014/01/01
i-miya
45
2013.10.07(つづき)網野善彦著。 2013.10.06 足利直義、鎌倉へ向かう。 対し、足利尊氏は、吉野の政府に一旦降伏し、尊氏は鎌倉の直義に対抗するために東へ向かう。 駿河、伊豆、相模で直義軍を破る。 1352、尊氏、鎌倉を占領、直義、死去(毒殺か)。 一方、吉野方の後村上天皇、北畠親房は、どうか。 北畠は武力を背景に京都の治天と天皇崇光を廃し、元号を南朝吉野方の元号。2013/10/07
i-miya
41
2013.12.05(12/05)(つづき)網野善彦著。 11/14 (p019) ◎在地勢力の激動と四分五裂する王権。 この当時(1352)の九州である。 直冬が依然として直義時代の元号貞和七年を用い続けていた。 この年は正平六年。 京都に入った足利義詮の観応二年とともに三様の年号を用いる勢力が各地に現われ「天下三分」といわれたように政府は四分五裂になっていた。 鎌倉幕府滅亡、建武の新政崩壊、さらに続く動乱。 2013/12/05