内容説明
三千年の歴史を有する中国の詩──そこには,道への志,政治批判,友情,望郷,恋愛,山水,仙界への希求など,自然と人間の万象が鮮やかにうたわれてきた.理と情の限りを尽くした膨大な詩から選りすぐった上古から清末までの五百首.精確で核心を鋭く射貫いた解釈が,漢詩本来の芳醇繊細で躍動する息吹を甦らせる.(全3冊)
目次
目 次
はしがき
上 古
上古の詩歌
『詩経』
『詩経』について
『楚辞』
『楚辞』について
前 漢
前漢の詩歌
後 漢
後漢の詩歌
魏 晋
魏晋の詩歌
南 朝
南朝の詩歌
北 朝
北朝の詩歌
年表1
地図1・2
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シンドバッド
8
従来の対語訳とは異なり、漢詩上は必要な語を省き、日本語へ見事に訳されている。また、解釈に於いてもその時代背景及び人物の社会的地位などを考証して行われている。 逸品ともいうべき書である。2015/10/21
わたなべよしお
8
まぁ、つまみ食い読書ですし、知っている作者は陶淵明くらいしかいなかったけど、久しぶりに漢詩の世界を少しだけ楽しみました。「白虹」とか「秋扇」とか、現代に生きている言葉もあるんですなぁ。2015/07/03
吟遊
7
上巻は南北朝時代まで。注釈が充実(とくに語釈)しているので、訳詩そのものは散文的な印象も強い。注で原文を味わってください、と。ぼくは古い時代の詩がとくに好きで、楚辞が読みたくなった。2016/08/12
大臣ぐサン
4
精選された中国の漢詩を年代ごとに収録。上巻は上古から南北朝時代まで。上段に白文、下段に読み下し文を配置し、注釈、現代語訳、解説という構成は読みやすいのだが、白文のみだと漢文に親しんでない読者には正直きつい。定型詩ならまだ何とかなるが、古体詩はどう読んでいいかわからない。読み下し文を読んでも、なぜここがそうなるのにこっちはこうなるのか、法則がわからない。いっそそのまま音にした方が、漢詩本来の雰囲気が伝わるのではないかと思うが、それもまた難しい。2017/05/01
飛燕
3
上古から南北朝まで。旧編と比べ、作家と作品のセレクトを半分くらい改めているが、全体の収録数は減っている印象(とくに南北朝)。陸機が今回は収録されているのが嬉しかった。「垓下の歌」や左太沖「詠史」など、編者独自の解釈もおもしろく読めた。それにしても南朝の人って本当に表現が上手。謝朓が雲漂う夕焼け空をあや絹、長江を練り絹と喩えたり、范雲の「昔去雪如花、今来花似雪」の対句とか、詩としての味わい深さは南朝のが多く感じられた。2015/01/18