内容説明
1970年、日中の国交が断絶していた時代に、自力で奇跡の帰国を果たした青年がいた――。4歳に満たぬうち、満州で日本の両親と生き別れ、「孫玉福」として貧しくも養母に愛情をもって育てられた著者だったが、大学受験を前に生活は激変。歴史に翻弄されながらもうひとつの「戦後」をたくましく生き抜いたひとりの男が記す凄絶な運命の物語。
感想・レビュー
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hatasatohito
2
中国残留孤児にとって、国交正常化前の早期帰国がいかに困難だったか、改めて学んだ。自らに課せられた過酷な運命に対して、ここまで冷静になれるものなのか。若年時から日記を付け、自らの行動と考え、自分についての情報や記録を的確に分析して、目標に向かう姿には驚嘆するばかり。そんな筆者だからこそ、早くに実親を見つけて帰ることができたのだ。大学入試の失敗を機に、自分の本来いる場所を求めて肉親探しをはじめるが、もし上手くいっていたらどうなったのだろう?大陸で人生を全うするという選択も当然あったと思う。2015/07/23
Ryo Sogawa
1
日本に帰国した中国残留孤児の自伝2023/03/18