内容説明
徳川綱吉の治世。犬が人間より偉く、武士が腹を切る奇怪な国・日本に上陸した冒険家ガリヴァーは、病に臥せる将軍のため南洋の島へと不死の秘薬を持ち帰る旅に出た。忍者に海賊、恐竜までが暴れ回る旅の果てに明かされる世界の秘密。博覧強記の奇才が、膨大なトリビアと知的たくらみを詰めこんで描ききる! かの名作『ガリヴァー旅行記』からは割愛された幻の冒険記が本書。『高丘親王航海記』『ランゲルハンス島航海記』などの奇想博物冒険記に、『ニンジャスレイヤー』のキッチュさを加えたテクニカラーの一大奇書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
5
狩場というのはもちろんガリバーの後付けであり、ガリバー旅行記の続巻という位置づけ。 そのガリバーが江戸に来て出会うのが狩場。 そこから船に乗り島に出向き、海賊との出会いから島での奇怪な生物との対立まで。 所詮はたらればなので、後半になるたびやりたい放題の様相に。 竜が出てくれば、神様らしきものまで。 ただし混乱しないのは章仕立てになっているからだし、いちいち解説がついているのでファンタジーとして楽しく読めたのは山口さんならではの手腕。 多分読む人を選ぶ作品だろうけど、個人的にはありだと思います。2019/10/19
MAS
2
本家「ガリヴァー旅行記」の知識(なかなか深い)も無く読み進めて行き、山口先生のおもろいパラレルワールドとして読んでしまったが、この小説の醍醐味は最後の最後で本家同様のメタフィクションを味わう事にもあったのだなぁ!と思った。2019/10/17
Goro Nakagai
2
久しぶりの山口さんワールド。このパラレルワールド感がいつも好きなのである。しかもいつも必ず和の要素が入ってるのも好きな理由かも。しかし、かの有名なガリバーと日本人が、しかも名前のよく似たカリバーが一緒に冒険に出かけるってどういうことよ(笑)。名前を近い響きにした理由は、実はガリバーは狩場でした!的なオチにするのかなって勘繰ってしまったけど、それはフェイントだったのは山口さんの良心からだろうか。って単にこっちが勝手にフェイントにひっかかっただけだけど。 キッドピストルズの新作も早く文庫化して欲しいなあ。2015/11/18
ぷくらむくら
2
いろいろなタクラミに満ちた本。ミステリというには弱いが、山口版「ガリヴァー物語」の味わいを存分に楽しめました。2014/05/27
灯子
1
真面目にガリヴァーという荒唐無稽な物語をかいている反面、脚註では山口さんらしさが感じられました。切腹ほか謎解きは要素はおまけ程度だったけど、最後の預言の矛盾はよかった。2016/08/07