内容説明
没後もなお多くの読者を魅了する藤沢周平。作家になる前いくつかの業界紙で働き、中でも「日本加工食品新聞」では10年ものあいだ編集長を務めたことは、これまでも知られている。この新聞の常設コラム「甘味辛味(あまみからみ)」に書いた膨大な記事から、藤沢らしい正義感や反骨心、優しさとユーモアが感じられる70篇を収録した。当時の同僚や仲間を取材した、元読売新聞記者の徳永文一氏による評伝「業界紙時代の藤沢周平」も合わせた、ファン必読の1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けやき
38
業界新聞時代に藤沢周平が書いたコラムの数々とその時代の評伝。面白く読んだ。2024/02/01
nemuro
29
「『日本加工食品新聞』編集長として執筆したコラム70篇と、(德永文一による)記者時代の素顔を掘り起こした評伝を収録」。コラムと評伝が半分ずつ。偶然、全国紙の日曜版・書評欄にて「娘婿の苗字が悪役だった登場人物と同じで、悪く書けなくなった」旨、娘さんが語っていることを知り、そんなことがあるのかと読んでみた『三屋清左衛門残日録』(2018年4月読了)に始まる藤沢周平。いま読み進めている<捕物帖>シリーズに限らず、各作品の随所に小菅留治(ペンネーム・藤沢周平)の生活と思いが反映されていることを知る。うむっ面白い。2025/01/23
剛腕伝説
17
海坂藩城下町 第7回読書の集い「冬」 藤沢周平が食肉業界新聞・編集長時代に書いた新聞のコラム集。 色んな顔が見えてくる。 学生時代は硬派で流行歌や女の話に熱中している連中を軽蔑し、野球やテニスをやる者さえ軽蔑していたとの事。後年の藤沢周平からは想像もできない一面であった。 また、直木賞受賞時の体重は48kgだったとか。痩せ形なのは分かっていたが、そこまで痩せていたとは驚き。文章の端々に、鬱屈した精神が垣間見得るのは、この頃から既にあったのだと感慨深い。 2022/01/24
yokmin
7
徳永文一の「業界紙時代の藤沢周平」が興味深い。藤沢さんの温かくて、誠実な性格が浮き彫りにされている。2013/05/21
キムチ
5
ハム等の食品加工業界新聞の編集長としての活躍ぶりを追った内容。前半はその仕事としての常設コラムが掲載されており、よくもまぁ「淡々と日常を描きつつ、ハムなどの話題を絡ませて行っている」継続の力に感心する。 後半はその業界での栄枯盛衰を藤沢氏亡き後のエピソードを混ぜて綴っている。 昭和40年代のバブルからそれがはじけるまでの世界も描かれていて面白い。 奥さまが亡くなって再婚するまでの苦労もちょっぴり含まれているし・・。 表紙の写真・・何やら佐田啓二みたいで素敵。2013/02/22