内容説明
壬申の乱を経て、藤原京、平城京へと目まぐるしく都が遷る激動の時代。その裏では、皇位をめぐって歴史の節目となる大変革が進行していた。繰り返される裏切り、陰湿なる策略。矢面に立たされた氷高皇女が女帝・元正天皇となり、自身のすべてを政治活動に捧げ、守り抜こうとしたものとは何だったのか――。悲劇の女帝を描いた長篇歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃいろ子
47
持統天皇の孫娘である氷高のちの元正天皇の小説。後に栄華を極める藤原家の不比等との権力を巡る戦いが描かれているのだが持統→元明→元正と続く女性天皇たちが絶対に守りたい蘇我の血、そして絶対に入れたくない藤原の血。結局はどれもエゴではあるのだが読んでいる時は元正の孤独な闘いに手に汗握り、一緒に絶望したり。 頂点に立つ人の深い孤独を感じた。 どんなに打ちのめされて屈辱を感じていても、けしてそれを表に出さず美しい顔で冷たく微笑んで政敵を見つめ返す元正に心を揺さぶられた。 2022/07/02
紅香
26
蘇我稲目の娘、堅塩媛が欽明天皇の妃の一人となったことから始まった。150年間蘇我の娘たちはいつも天皇の妃、あるいは天皇の母であり続けた。『私たち蘇我の娘たちには、どのみち平坦な生涯は許されないのだから』時の権力者が天皇の妃となり、子を産む。血脈を賭けた玉座。守り抜いても虚しさだけが残る。目の前を駆け抜けては消えていった亡霊の数々に圧倒される。血という使命感。盤上の駒のようなこの地上に悔恨を残した悲しみの塔が何と多いことか。それを知らずして、その土地にみだりに足を踏み入れてはいけないのだと強く思った。2021/02/11
雛子
22
たぶん永井作品は初めて読む。古代史、とりわけ奈良時代となると、正直ごちゃごちゃしていてよくわからなくなる。途中の系図に何度も救われた。主人公は氷高皇女、のちの元正天皇。祖母は持統天皇で、母は元明天皇。弟は文武天皇で甥は聖武天皇。物語は壬申の乱のあとから始まる。蘇我氏と藤原氏の争いは静かに確かになお続く。女帝たちが嘆息を洩らすたびに、読んでいるこちらも嘆息を洩らしてしまいそうな。なんだか、昼ドラでも見ているような感覚さえしてきた。作者なりの、この目立たない女帝の存在の解釈は興味深い。2013/05/12
あまね
20
里中満智子先生の『天上の虹』がお好きな方には、特にオススメです。持統天皇以降のお話が詳細に綴られています。主人公は、聡明で美しい氷高皇女。第44代元正天皇です。この作品を読んで長屋王のイメージが変わりました。壬申の乱の遺恨がくすぶり続け、蘇我の娘たちの誇りと藤原家との凌ぎを削る対立に胸が痛みます。先日読んだ葉室麟さんの『緋の天空』とはまた違った視点からのものなので、両方読んで良かったです。2018/06/02
えみりん☆
19
運命は定められていたのか、周囲によって作られていったのか、氷高皇女のちの元正天皇、女帝3代続く奈良時代。一族を守るべく託された女帝の苦悩、裏切りや謀略は今昔を問わず権力の周りには渦巻く。どんなに守ろうとしても時代は流れていく。蘇我氏と藤原氏の対立や藤原氏と橘氏の対立は分かりやすく描かれていました。たけきものもついには滅びぬ。よく言ったものだと思いました。2016/11/28
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