文春文庫<br> 長門守の陰謀

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文春文庫
長門守の陰謀

  • 著者名:藤沢周平【著】
  • 価格 ¥580(本体¥528)
  • 文藝春秋(2012/05発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167192433

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内容説明

長門守(ながとのかみ)・酒井忠重が、藩主の世子を廃し、自分の子を後継に据えようとしている──荘内藩空前の危機、いわゆる「長門守事件」を題材とした表題作。権謀術数がうずまく政治の世界に生きる男たちを描くこの作品とは対照的に、小藩の武士の世界をその妻の視点からユーモラスに描いた「夢ぞ見し」。ほそぼそと街場に暮らす人々の哀歓を愛情深く描く「春の雪」「夕べの光」「遠い少女」。藤沢周平の魅力を堪能できる、5つの初期短篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

110
市井モノと武家モノの短編集。表題作は実際に庄内藩で起きた事件がモデル。最も好みだったのは「夢ぞ見し」。寡黙で茫洋な印象の夫に不満を持つ妻。江戸詰の頃に世話になったと言う若侍が逗留する。夫が実は藩内で指折りの剣客と言う事実が分かる。部屋住みの若侍かと思った男の正体。ラストが小気味良い。また、「夕べの光」も秀逸。夫に先立たれ、遺された血の繋がらぬ母子。縁組の話しや、奉公先の男からの誘いが母にある。男より子を選ぶ母。血の繋がりが無くとも、乳飲み子から育てた確かな絆がそこにある。人情に加えて哀切溢れる短編集。2022/01/01

ケンイチミズバ

109
夫のお役目の違いで見えてしまう互いに家を行き来する幼馴染との生活の差、二十五石と八十石取りでは3倍もの差が。現代でも旦那さんの仕事の中身を詳細に知る奥様方は少ないのではなかろうか。何の説明もなくある日突然家に転がり込んできたイケメンはどこか洗練され爽やかなのに態度は横柄、朝寝坊、毎日ゴロゴロ。何か訳アリとはいえ、妻は礼儀作法を窘め、時に布団を引きはがし、肩もみまでしてもらう。よくわからぬまま時が過ぎ、ある日夫のお給料が上がる。藩の内紛という一大事に知らず匿っていたこと、その人の素性を知った妻の驚きと笑い!2020/11/02

タイ子

86
今回も藤沢作品、大いに楽しませていただきました。中でも「夢ぞ見し」はクスッとなりながら最後の真相にしてやったりの笑いが…。無口で無粋な夫、お城勤め後帰宅しても「飯はいらん」の一言。妻の不満は増すばかり。ある日、突然一人の爽やかな武士が夫を訪ねてくる。上から目線の物言いは気になるが妻も女、何だかソワソワ。武士から聞かされる妻の知らない夫の裏の姿。武士の実像と夫の実像。いやぁ、このラストはお見事!「夕べの光」は山本周五郎の「日本婦道記」を思い出す。「遠い少女」は藤沢作品によく見る幼馴染みとの邂逅物語。2022/08/23

じいじ

81
この短篇集、中間で気が付いた再読だった。出版社が変って、装丁もガラッと変わっていたので気が付かなかった。でも、やっぱり藤沢作品は読み返しでも期待を裏切りません。【夕べの光】は市井モノ。男運に恵まれない女の物語。おりん28歳は、乳飲み子を抱える男と二度目の所帯をもつが、亭主は病死。三度目の結婚には、悪たれ息子が足手まといに…。おりんが選んだ道に心打たれます。【夢ぞ見し】うだつの上がらない武士に嫁いで10年。藤沢作品には珍しい、ちょっぴり色っぽく、ユーモア溢れる武士モノ。そんな不満の溜った妻に吉報が届きます。2022/08/17

ふじさん

64
表題作「長門守の陰謀」は長門守事件として史実に残る荘内藩の危機を描いた作品。「夢ぞ見し」は、妻の昌江が捉えどころのなく魅力を感じない夫の甚兵衛をある事件を通して真の姿を知り、夫婦の絆を深める流れがいい、「春の雪」はぐずな茂太としっかり者のみさの生き方に心惹かれる、「夕べの光」では血の繋がらない親子が、様々な困難を乗り越え、真の親子へ。特におりんの幸助を思う優しい心に涙する。 2020/09/16

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