内容説明
ときは幕末。開港して六年目の横浜では、南京人による犯罪が激増していた。取締りの応援に乗り込んだ与力立花源吾が行方知れずに。そしてある朝、源吾の首が奉行所の門前にさらされていた――! 下手人と目されたのは窃盗団頭領の張竹芳。剣友・源吾の敵を討つため、卯之助と正五郎は上海へ向かう。著者円熟の筆がますます冴える『横浜異人街事件帖』完結篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
13
幕末の横浜で、沖仲仕の差配をやってる元江戸南町奉行所同心を主人公にした「横浜異人街事件帖」の続編で、海を題材にした歴史小説家の絶筆本。今回は旧友を惨殺された主人公らが、奉行の命で下手人の支那窃盗団首領を上海に追い仇を討つ中編を皮切りに、アラビアの女占い師の霊感商法、幕府軍脱走兵の逸話の表題、そして鳥羽伏見の敗退から江戸無血開城と横浜の顛末で江戸時代の終焉と主人公らの今後を踏まえた幕引きであった。本作刊行9ヶ月後に逝去した著者の幕引きと相まった心に残る作品です。2015/12/10
hisaruki
1
幕末から明治初期にかけての横浜という舞台が持つ独特の雰囲気を舞台にした傑作。三作目が無かったのが残念。
けいちか
1
白石一郎最後の文庫本。新しい白石一郎作品に出会えないのは哀しいこと。「横浜異人街事件帖」の続編で、著者最後の文庫となった作品。いくら、お奉行の命令とはいえ、上海まで出かけて行ったり、行動的と言えばそれまでだが、卯之助は破天荒である。時代も動いているが、彼の人生も動いている。最後はこれからの希望が見えるような終わり方になっている。2010/10/30
まる
1
一気に読んでしまった…。上海に行く前と行った後の髷の絵が見たかった。2010/04/24
ゴボテン
1
一度読んだ本でした。白石一郎は読みやすい。2009/09/22