内容説明
老舗菓子舗「笹屋」の若後家・お歌は、雨宿りのひととき、行きずりの謎の浪人に手ごめにされてしまう。体も大きく気が強い自分が、犯されて抵抗しなかったことに納得がゆかぬお歌だったが、奇妙な再会をとげ、やがて男への憎しみは愛しさへと変わってゆく。少女のようにときめくお歌。二人の深まる恋は、ひょんなことから敵(かたき)討ちの助太刀に発展し、やがて迎える別れの朝…。江戸に生きる勝気な女の姿が、21世紀の日本人をも魅了する、新感覚の長篇時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
269
【読メエロ部】私にとっての時代小説の原点、池波正太郎先生。へぇ、女性主人公か。物語は、いきなり主人公・お歌が、素浪人風の源吾に手ごめ(なんて甘美な響き♡)にされちゃうところから始まる。いつしかそれが恋に変わり、その恋が、親の敵討ちの助太刀にも加担して...。ふたりのむつみあいが超エロくて、心がザワつきました(笑)池波先生、こんなのもお書きになってたんですね。先生独特の「読点&ひらがな文学」堪能しました。2017/09/16
優希
93
赤裸々な女性の心に魅了されました。強かで逞しく江戸を生きるお歌の姿が、男性とは思えない情念で描かれています。行きずりの男に手込めにされたことで男性を憎んでいたお歌の想いが愛情へと変化していく様子に惹かれました。根底では男性に都合のいい物語になっている感もありますが、恋と別れの物語にはじんわり来てしまいます。身ごもった子と輝かしい未来を紡ぐのが伺えるような爽やかな読後感がありました。2016/02/11
じいじ
86
池波作品は3作目ですが、小説は初読みです。藤沢周平の時代小説とは、またひと味違う趣で面白かった。主人公は、三年前に夫に先立たれた女お歌、彼女の生き様が清清しくて小気味よいので、少しばかり惚れてしまいます。行きずりの素浪人に段々と魅かれていくお歌が、何とも愛おしくなります。温かさと親しみやすさを肌で感じた池波小説、もう2・3作読んでみようと『夜明けの星』『秘密』を積みました。2021/09/18
baba
38
池波氏が珍しく女性目線で語っている。夫が亡くなった婚家と実家とに挟まれ、義弟との軋轢などを背負って逞しく生きるお歌が不思議な男と出合い、不思議な成り行きに。上手くいきすぎる所もあるが、中氏の挿画の様に強くたおやかなお歌がどんな境遇も潔く受け入れる頼りになる女性が頼もしい。それにしても馬杉源吾は何者?2016/05/16
タツ フカガワ
27
菓子舗笹屋の若後家お歌が、雨宿りで入った小屋で浪人者に手ごめにされる。これが後のお歌の人生を大きく変えることに。「~はてさて、女という生きものは奇妙なものだ」とはお歌の兄の言葉だが、そんな彼女の懸命な生きようが池波節で語られるとページを捲る手が止まらない(池波作品には珍しく、時おりコミカルな描写も)。カバー画は本編最後の情景ですね。2020/01/21




