文春文庫<br> 中陰の花

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文春文庫
中陰の花

  • 著者名:玄侑宗久
  • 価格 ¥437(本体¥398)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 3pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167692018
  • NDC分類:913.6

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内容説明

自ら予言した日に幽界へ旅立ったウメさんは、探し物を教えてくれる“おがみや”だった。臨済宗の僧侶である則道はその死をきっかけに、この世とあの世の中間=中陰(ちゅういん)の世界を受け入れ、みずからの夫婦関係をも改めて見つめ直していく──現役僧侶でもある著者が、生と死を独特の視点から描いて選考委員全員の支持を集めた、第125回芥川賞受賞の表題作。人口2万人の小さな町で、人目をしのんでひっそりと働き、暮らす女の日々を描く「朝顔の音」を併録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

221
第125回(平成13年度上半期) 芥川賞受賞 。 現役僧侶が芥川賞受賞と いうことで話題になった本。 心なしか、僧侶らしく 生と死を正面から捉え、 それが逆に新鮮でもある。 「中陰」とは、この世と あの世の中間らしいが、 僧侶が体感するその世界、 あるのかもしれない…則道と 圭子が織り成す大阪弁の 軽妙なやりとりも儚く… 「中陰に漂う」そんな 気がする展開だった。 2014/04/19

ヴェネツィア

147
2001年上半期芥川賞受賞作。同じ時期の候補には阿部和重、長嶋有もいた。本書の著者、玄侑 宗久は現役の臨済宗の僧侶という特異な経歴。そして、小説の主題も、世界観もかなり特殊だ。そのことは、真っ向から死の問題に取り組んでいることからも明らかだ。それでいて、一向に抹香臭くなく、明るく真摯な向き合い方だ。このような形でなら死を受け入れることができそうな気がする。表題となっている「中陰の花」は、まさしくこの小説中の「花」だ。また、妻の圭子さんの大阪方言での合いの手が、物語に柔らかさとふくらみを同時に与えている。2013/05/22

かみぶくろ

99
人は死んだらどうなるのか?霊とは?成仏とは?霊的体験は本当に在るのか?現代の科学至上主義に生きる我々からすれば、死後の世界や霊的体験には否定的な立場を取らざるをえないが、現役僧侶が描く本作では、そうした霊的なものへの量子力学的なアプローチの可能性を認めつつ、それ以上に、霊を体感する人間側の認識に重きを置く。作中で水子供養のために妻が行う壮大な準備は、心の網を徹底的に緻密化することに似ている。そうした体感する側の心の網が、霊か素粒子か、何らかのものを感じ、捕らえ、心を震わせたのだろうと思えた。2020/04/12

chantal(シャンタール)

93
仏教用語で、人が亡くなってから49日後に成仏するまでの間、この世とあの世の間の事を中陰と言う。「人は死んだらどうなるのか?」死んだことがなければ誰にも分からない。お釈迦様も死後の世界については一切語らなかった。それはもう、想像するしかない。死後の世界なんてまだまだ実感として考えられないけど、光になる、なんてのもいいかも。空中にぱぁーっと広がって小さな花になってひらひら舞い落ちていくのもいいかも。なんて、今はそんなこと考えずに、楽しく生きることを先に考えましょう😅2020/03/15

おいしゃん

85
【芥川賞作品】「この世とあの世の中間」の世界を描いた芥川賞作品。そう聞くととんでもなく難解そうに感じるが、意外にもすっと入ってくるのは、現役の僧侶が書いたからか。包装紙を刻んで造られた中陰の花や、常軌を逸して成長する朝顔など、病的な世界観もありつつ、それらが他者との関係性やあの世を暗示しているようで面白かった。2015/05/24

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