内容説明
20世紀最後にして最大の家電商品・ホームビデオ。VHS方式とベータマックス方式、二つの規格をめぐって、日本ビクターとソニーが死闘を繰りひろげる。規格統一はあるのか。欧州市場は、どちらを支持するのか。そしてついに、高野鎭雄という一人の男の信念が、技術者集団を引っ張り、井深大、盛田昭夫率いる巨人・ソニーとの闘いを制し、世界を相手にひとつの時代の幕を開く。NHKの「プロジェクトX」や映画化で話題をよんだ痛快無比の傑作ビジネス・ノンフィクション。
目次
夢
先陣争い
つばぜりあい
ファミリー作り
対峙
揺らぐ家電王国
陣取り合戦
ハリウッドからの挑戦状
亀裂そして修復
二十世紀最後の家電商品
産みの苦しみ
天下分け目の欧州市場
世界規格への道
最後の勝利者
デジタル時代のVHS
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
65
「VHS対β」として知られた、ホームビデオの規格争いを描くノンフィクション。実際は他の方式も含んだ非常に複雑な構図。販売や性能だけの問題ではなく、全世界を巻き込んだこともわかる。両陣営が現役中なのに、すでに8ミリやビデオディスクの開発も始まっていて、消費者から見た進行とはかなり違うことに驚く。VHSの開発者からの視点で描かれているが、β派から見た読み方をしてみた。それでも、よくここまで詳細に当時の状況を再現できたものと思い納得がいった。ビジネス書は基本的に読まないが、技術との関係に興味をひかれた。2021/03/25
かしまさ
13
TechmoanていうYouTubeチャンネルで昔のビデオフォーマットのレビュー動画を見て興味を持った。ベータマックス vs VHSのビデオ戦争に関わったメーカー技術者の攻防をまとめた長い長い物語。プロジェクトXでもやってたし結構有名なエピソードも入ってる。最終的な勝者はVHSということになっていますがそれさえ遠い昔の話になりました。メーカーの思惑通りにいかないで廃れていった規格も多々あれど、どれも熱い想いが込められてたんですねぇ。2020/03/23
遥かなる想い
9
「ビデオ・男たちの産業史」というサブタイトルが付き、日経ビジネス連載中から面白いという評判だった本書は大宅壮一ノンフィクション受賞作家佐藤正明の筆力もあって、読者を一気に惹き込ませてくれる。ビクターの高野を主軸に据えたこの本には松下幸之助・盛田昭夫など著名な産業人から無名戦士まで「ビデオ」という 大型家電商品を 世に送り出した苦闘を見事に 描き切った良書である。実名企業小説にはどこか気の配りがあって迫力がないものも見受けられるが、本書は 映像の世紀とも言われる20世紀を 的確に描写していると思う。
かぶき者
8
プロジェクトXでもやってたし、映画にもなったし、でもやはり原作にはかなわない。中年男子なら懐かしいVHS対ベータの覇権争いを描いたノンフィクション。 熱い男が世界を巻き込んで一つの規格に統一していく様はなんともカッコいい。新しい技術を作っても業界標準になるのは大変なんだな。そういえばソニーはメモリースティックでもコケたよなぁ。そんなソニーの独走性(文字通り)好きですが。2018/01/23
抹茶モナカ
6
分厚いけど、読んで損はない。ノン・フィクションという事になってるけど、そんなにおっさん臭い本でもない。2013/06/16