内容説明
「この一冊は、欲の深い人のために書いた本である。つまり、何かを読むのに貴重な手間をかけた以上は、必ず効果(もと)をとらねばならない、と考えておられる方々に向けた本である。すなわち、人生の持ち時間をできるだけ有効に使いたい、と願っておられる方々を、念頭においた本である」(まえがき)。複雑怪奇な「人」の正体を鋭くも温かく洞察、人間関係のエキスパートがほどよく噛み砕いた文章で即効力のある本を読み解く。
目次
第1章 今、なぜ古典なのか―二十一世紀を切り拓く知恵の源泉を求めて(「古典」の現代的価値が輝く時代―生きるのが上手くなるための読書法とは;人間を知り、世間を知ってこそ―よりよく生きるために学ぶべきこと)
第2章 世間通になるために―「人間社会のメカニズム」の根本とは何か(「社会のメカニズム」を知る栄養剤 『イソップ寓話』―現代にも脈々と生きる「古典の中の古典」に学ぶ;最も上手な生き方のすすめ 『論語』―名著『論語の新研究』が明らかにした新事実;説得の表芸と裏芸 『ジュリアス・シーザー』―シェイクスピアが展開した人間関係論の極致 ほか)
第3章 人間通になるために―人間性に潜む“本質”を読み取る秘密(「あたたかい心」と「やさしい心」 『チャタレイ夫人の恋人』―ロレンスが明かしたセックスの到達点にあるもの;世間体と自尊心の関係 『この世の果て』―“帰ってきた人間嫌い”サマセット・モーム、ただ一つのテーゼ;素っ裸にされた人間性の真実 『箴言集』―ラ・ロシュフコーが徹底して洞察した人間の行動原理 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
vladimir-kyoto
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一刀両断的なものの見方が面白いというか、論語を一度読んでみたくなるなあ。2012/04/15
sasuke
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ドストエフスキーの『悪霊』についての記述に考えさせられたが,そこで思ったのは,「谷沢永一さんは,『悪霊』に言寄せて,理想主義者を『立ち疲れて横臥している』と批判しているが,理想主義者とは転向する前の『かつての自分』であり,理想主義者たちから強く批判された自分を奮い立たせて,理想主義者をけなしているのではないか」ということ。だから「いいよ,いいよ。立ち疲れしたから,横臥していようじゃないか!」と,思った次第。浅い理解かも知れないが,今はそんな気持ち。開高健さんの親友でもある谷沢永一さんのことは嫌いじゃない。2012/04/03