内容説明
犯罪者として警察に追われる放蕩息子の身を案じ、別れた妻の家を訪れた男が見たものは睡眠薬の小瓶、大型の電気鋸、そして二つの大きなダンボール箱。一体なにが起こったのか、そしてあの箱の中身は……表題作『箱の中』。亡くなった女性のことをふと思い出し、なにげなく彼女の兄の店を訪ねると、彼女はいま裏の二階にいるという……『死んだ女』ほか、日常生活にひそむ“超日常”を綴ったホラー小説全十篇。秘密の箱のふたを、あなたもそっと開けてみて下さい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
42
「箱の中」という題名の小説を含む全10の短編集。分類としては恐怖小説なのでしょう。この小説集自体が様々な楽しみを運んでくれる「箱」なのかもしれないと考えてしまいました。久しぶりに阿刀田さんの短篇を読みました。2015/02/21
takaC
37
帳尻あわせ目的に再読。前に読んだのは1997年5月10日らしいから28歳の最後に読んだ本ってことか。ふむ。2014/04/10
MIKETOM
7
全10編。軽いミステリーもあり、かすかに不思議なホラーというか恐怖譚もあり。「陽の当たる家」モルモットの尻尾をいくら切っても子々孫々尻尾のないモルモットが生まれることはない。けれど、例えば右に進めば電気ショックが発生する箱で何世代にもわたって飼育すると、やがて右に行かない個体が生まれるとのこと。つまり経験(記憶)が遺伝すると考えられる。←といった蘊蓄をヒントにして一編の短編を書く。阿刀田は博識の作家であり、それを小説作りのヒントとしてよく活用している。こういうテクニックを持ってる作家は強いな。2018/05/07
百万石のマルコ
4
モロッコ幻想が好き。日常とは別の軸で存在する世界(平行世界?)とか、ホラーというより幻想的な話が多かったと思う。2010/06/13
留々家
3
よく分からない話がいくつかあった。自分にははっきり落ちている話の方が面白い。「暗い頭」という短編は好き。2012/09/04