文春文庫<br> 考えるヒント

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文春文庫
考えるヒント

  • ISBN:9784167107017

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内容説明

「常識を守ることは難かしいのである。文明が、やたらに専門家を要求しているからだ。私達常識人は、専門的知識に、おどかされ通しで、気が弱くなっている。私のように、常識の健全性を、専門家に確めてもらうというような面白くない事にもなる。(中略)生半可な知識でも、ともかく知識である事には変りはないという馬鹿な考えは捨てた方がよい。その点では、現代の知識人の多くが、どうにもならぬ科学軽信家になり下っているように思われる」(本文より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

136
小林秀雄の昭和30年代のエッセイ集。比較的軽いタッチで書かれているのだが、緻密な文章で深い洞察が含まれており、丁寧に読んでいかないとその良さが分からなくなってしまう。鋭い知性を感じるのだが、同時に物事を包み込むような人間的な温かみを感じる。それは分析的にならずに、直感や雰囲気を大切にする東洋人の感性から来ているような気がした。「人形」のなかで、小林秀雄がわが子を失った女性に見せる人間的な優しさが素晴らしい。小林秀雄は知の人だけではなくて、情の人でもあったことがよく分かる文章だと思う。2015/08/24

momogaga

35
読メ開始以前の既読本。評論の入門書として読みました。思考することの楽しさを教えてくれました。

Gokkey

9
前半の文藝春秋に掲載されたエッセイは読みごたえがあるが、その中でも「言葉」と題された作品で論じられる「言葉の姿」という考え方に氏のアティテュードとそれを形作る本居宣長が見てとれる。まず情があって詞がある。詞は求めて得るものだが、情はそこにあるもの。故に歌とは情を整える行為であり、言辞の道である。つまり、言葉こそ第一であり、意は二の次である。氏の文章は確かに難解なものが多いが、言葉との向き合い方を改めて知り、そこに込められた情へと思いを馳せることもできようか。岡潔氏との対談で語られていた理と情を思い出した。2023/11/21

ダイキ

6
「考えるヒント」、小林秀雄にしては、随分取っ付きやすそうなタイトルだと思った。読書メーターのこの本の登録者数を見ても、恐らくタイトルだけを見て、登録するに至った人が多いと思う。しかし、いくらタイトルが取っ付きやすいといっても、小林秀雄はやはり小林秀雄であり、相変わらず難解である。この文庫には、表題作の他に、「四季」という一編と、その他二編が納められているが、「四季」は簡明なものばかりであり、小林秀雄を知らずに、タイトルだけで買った人には、まずはこちらの方がよっぽど「考えるヒント」となり得ると思う。2015/04/26

4

4
含蓄は有るが高さがない。そんな印象。2013/07/11

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