内容説明
「ことさら深刻ぶるのはよそうぜ」などとカッコいいせりふを吐いてぼくたち二人はおたがい納得して「離婚」したのです。ところがどこでどうなってしまったのでしょうか、ぼくはいつのまにか、「もと女房」のアパートに住みついてしまって……。男と女のふしぎな愛と倦怠の形を、味わい深い独特の筆致で描き出した第七十九回直木賞受賞作品。さらに表題作の続篇の形で書かれた「四人」「妻の嫁入り」、前篇ともいえる「少女たち」の三篇を併録した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
30
☆☆☆ 離婚した妻との何ともダラダラとした関係が理解に苦しむ。されどこの女の奔放さも何だか憎めない気がする。2018/02/17
kaoru
24
共感しがたいストーリーなのに、登場人物の心情には共感できるのが面白いところ。また、作風も題材も違うのに根底には阿佐田哲也に通ずるところがあるのが見所か。ただ、連作の後半はだれてしまっているのが残念。2017/03/21
マサキ
9
一見お互いに奔放で型にはまらない男女のタイプでありながら、どこか常識や社会の影が見え隠れする。それは戦前、戦後の価値観のせめぎ合いだったり、新しい価値観だったり。その中で生きる彼らは決して本当に奔放でいられるわけではないのだ。「離婚」の誠っちゃんとすみ子シリーズ三編が続いた後に収録される「少女たち」が「離婚」に別の光を当ててくれる。適度な距離感など保ちようのないのが男女、その距離間を見失うと、彼女たちはいつか飛んでいってしまう。それでも私たちはなぜかひとりの人間から目が離せなくなるものなのかもしれない。2020/01/10
きつね
6
犬飼ってる設定だけど犬がほぼ一切出てこない。同じように、まともな家事の描写が一切ない。破綻した生活をうつしだすリアリティ。2013/08/09
うさこ
6
元妻、すみ子のキャラクターがありえなそうでありえそうです。私小説だとすると、主人公の羽鳥は自分ばかりかばい過ぎなんじゃないかなと思いました。2010/11/17