内容説明
「どうぞ、お上りあそばして」と若い未亡人は客を迎えた。南麻布の高台の洋館──そこには老夫婦と、早逝した息子の嫁とが住んでいる。美しい未亡人に惹かれてか、その家のサロンには次々と青年たちが出入りする。老夫婦はなぜ嫁に青年たちを歓迎させるのか? 奇妙な豪邸の正体を暴く表題作。キャリア女性ばかりが住む、一見華やかな世田谷の独身アパートの浴場の湯槽で起こった殺人事件に潜む人間関係を描く「獄衣のない女囚」。昭和の色濃いサスペンス2篇!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nozomi Masuko
6
高台の家には老境に差し掛かった夫婦と早逝した息子の嫁が住んでいた。その不可解な関係を描く表題作と、一見華やかなムード漂う女性だけが暮らすアパートを舞台に発生した殺人事件の謎を追う「獄衣のない女囚」を収録した作品。どちらも女性の底なしの怖さを表現していて引き込まれました。女囚のほうが事件の描写が具体的でそそられるかな。最後はあっけなかったけどね。2015/09/04
葉
0
年が大きく異なる登場人物の織りなすムーディーな雰囲気がある。男性はすぐに同性愛を疑うくだりがある。岩瀬は女装しているという話も書かれている。サスペンスは其れ程好きないがこういう本から何か得るものがありそうな気がするのでこれからも読んでいこうと思う。死体解剖などの流れや動機に関したは後半から謎がとけていく。残り50pでは話の流れが激しくなる。警部補の役回りも乙なものである。2015/04/15