内容説明
謎の画家といわれるオイレングラス、コンピューター管理の貨物列車で運ばれるこの画家の作品を奪うために、綿密な計画と果敢な行動力で“作戦”を成功させる男たちのドラマ「贋作ゲーム」をはじめ、爆発物処理のスペシャリストが撤去不可能といわれる機雷の除去に取り組む「スエズに死す」、ハイジャック犯をいかにして逃がすかに映画屋が立ち上がった「エアーポート・81」など、いずれも実行不可能な作戦を遂行するために命がけで挑む男たちの姿を描く“泥棒小説”の傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tegi
1
不可能に挑む人々のケイパーもの。彼らは金品だけでなく精神的ななにかをも求める。こういうのが好きなのだよなー。森下一仁による解説、山田正紀は挑戦する作家だからこそ挑戦を描く、というのに非常に納得。それは手に入れられないなにかを求めるSFの物語を書くことにも繋がるだろうし。2019/01/20
影実
1
「贋作ゲーム」「スエズに死す」「エアーポート・81」「ラスト・ワン」の4作品を収録したケイパーものの短編集。ゲーム性が強く読後感は悪くない(内容があまり印象に残らないかも?)。いずれも1時間程のドラマ向きな作品という感じ。「ラスト・ワン」の最後は映像映えしそうで結構好き。2018/08/20
紫
1
ゲームタッチの冒険小説短編集であります。ハイテクにローテクで対抗する展開が多く、時代を感じさせられます。昔なつかしの『スパイ大作戦』もしくは『冒険野郎マクガイバー』の日本版+小説版とでも考えていただければよろしいでしょうか。収録作では『スエズに死す』が突出した面白さ。表題作は結末のオチが素晴らしいものの、途中のむやみに大がかりな作戦行動に唖然呆然となってしまいます。『エアポート81』のトホホなハイジャックもシュールでたいへんけっこう。全体にスケールが大きいんだか小さいんだか。星4つ。2017/04/16
佐藤司
1
山田正紀は本当にこういうの上手だなぁ。表題作が何度もどんでん返しがあって傑作。ちょっと軽めでTVドラマっぽいけど、逆にどんどん読み進められるので気にならない。今でも十分通用する冒険小説。2012/10/15
wm_09
1
爽快な「ゲーム小説」連作。どの作品もよく考えられたトリッキーな作戦とプロットが楽しめる。ゲームに撤したためどの作品も後味が良いのは好感。(稲)2010/07/04