内容説明
筒井康隆が文学賞への“怨念”をこめて文壇を震撼させた問題作! 文壇予備軍・同人誌作家がブンガク賞をめざして抱く大いなる野望と陰謀──選考委員、編集者、文壇バーに象徴される作家集団の恐るべき内情。地方で繰り広げられる文学談義の虚構。行間にみっしり詰め込まれた破壊力でタブーとされた“文壇”とその周辺の人間群像をパロディ化し、文壇の俗物性を痛烈に嘲笑。単行本刊行と同時にカンカンガクガクの話題をまいた猛毒性長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
33
【再読】大衆文芸の最高峰・直木賞。それを受賞できなかったのはブンガクではなくSFだったからなのか? 文壇の内部では、このように恐ろしく湿った世界なのだろうか? 地方の同人主催者・保叉(ルビなし。なんと読むのだろう?)のアドバイスを受けて書いた小説が思わぬ反響を呼ぶことになった市谷くん。直廾賞候補になり、職も全財産も投げうって工作をした挙句の落選。彼は破綻の人生を選択してしまう。演劇・ドラマの脚本仕立てで進行する物語に、ついつい市谷くんの気持ちに入れ込んでしまった。2019/09/22
TSUBASA
19
一流企業に勤める市谷は地方同人誌に企業内の暗部を書き連ねた小説を上梓する。マウント合戦に明け暮れる同人たちに嫌気がさすも、何の因果か有名紙に転載され、直廾賞候補に持ち上げられる。しかし会社の怒りを買いクビになった市谷は、直廾賞に一縷の望みを賭けるが。ブンガクとかいう得体のしれないものを掲げてふんぞり返ってる文壇の者どもを皮肉った作品。直木賞を取れなかったことに対する痛烈な仕返しというあたりが実に筒井らしい。wikipediaを見て登場人物のモデルを知り、あの人がこんな風にからかわれてんのねとクスクス来た。2022/06/27
ぽち
13
たぶん4,5回は通読しているのでおそらく6回目かそれ以上の再読にはなるのだけどこんな筋道のくっきりとした小説をなぜかほどに読むのか、読ませられるのかといえば改めて文学理論ぽくいってみればやっぱり語りと描写の技工につきるのだろう、か。主人公の(この言い方も極めて文学理論ぽいが)焦燥、絶望、憤怒、理知、殺意、にからめとられる、ここにあるのは共感ではない、侵食、同化する感覚。最終盤のドライブ感覚は只事ではないのだけどそれだけでない、コールタール塗れの情感に窒息する。表層的に、スラップスティックの傑作でもある。2021/06/05
ホレイシア
7
そういえば、高校生の時に読んだ。大昔だ。2008/01/06
わか
2
徹頭徹尾ひどい話。好きではない2021/12/04