内容説明
この30年余りのあいだに資本主義は大きく変化してきた。新自由主義の政策イデオロギーが現実政治に浸透した国々では、金融と雇用の規制緩和が進み、それがアメリカ主導のグローバリゼーションと交錯して、ファンドマネーが世界を駆け巡る「株主資本主義」の時代が出現した。それとともに戦後、長らくつづいてきた安定的な雇用関係が崩壊し、労働者の状態はまるで19世紀に逆戻りしたかのように悪化した。本書ではこうして出現した時代を「強欲資本主義」と呼んでいる。「強欲資本主義」と化した現代資本主義の“現代性”と“多面性”を労働と消費の視点から明らかにし、ポスト新自由主義の新しい経済社会を探求する。
目次
現代とはどんな時代なのか
第1部 現代資本主義の全体像と時代相(現代資本主義論争によせて;現代資本主義の現代性と多面性;雇用関係の変容と市場個人主義;株主資本主義と派遣切り)
第2部 日本経済と雇用・労働(バブルの発生・崩壊と一九九〇年代不況;悪化する労働環境と企業の社会的責任;労務コンプライアンスとサービス残業;非正規労働者の増大と貧困の拡大)
新しい経済社会のあり方を求めて
著者等紹介
森岡孝二[モリオカコウジ]
1944年、大分県に生まれる。香川大学経済学部を卒業後、京都大学大学院経済学研究科に進む。同博士課程を中退し、大阪外国語大学助手、講師を経て、関西大学経済学部教授、経済学博士(京都大学)。株式オンブズマン代表、大阪過労死問題連絡会会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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