内容説明
たった944gでこの世に生まれた男の子。入学と同時に受けた壮絶ないじめ。母は、不登校という選択をした。学校に行けなくても、俳句があるから僕は生きていける。不登校の少年凛君は、俳句をつくり始めたことでいじめに耐えた。春の陽に彼は輝く。
目次
「俳句への挑戦」(小林凛)
今日も張り切って不登校―そして凛の俳句は生まれた(母・史)
「春」
いじめは収まらず―でも、僕には俳句がある(母・史)
「夏」
生まれしを幸かと聞かれ春の宵―(祖母・郁子から凛へ)
「秋」
笑顔と温もりをくれる人―ショーン・ハート先生(母・史)
「冬」
「再び冬から春へ」
「学校の句、友達の句、命の句」
著者等紹介
小林凛[コバヤシリン]
2001年5月、大阪生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パフちゃん@かのん変更
82
感性が瑞々しく透き通った感じの俳句です。絵も字も人柄を表していますね。その彼が未熟児で生まれ、人と同じようなことが出来ないために小学校でひどいいじめにあう。それは親が学校に直訴しても取り合ってもらえない。一方的にいじめられても喧嘩両成敗などと言われる。困ったもんです。学校が「いじめ0」などという目標を立てるからそのいじめはなかったことにされてしまう。いじめはどの学校にもどのクラスにも起こりうることと想定し、起きたことをマイナスととらえず、克服の過程を評価するべきだ。2014/03/20
あじ
52
わずか944gで生まれた凜くん。未熟児特有の頭の大きさと、ぎこちない歩行から同級生たちのからかいが始まり、やがて壮絶な虐めへと移行していく。そんな日々を支えた唯一の生き甲斐は『俳句』を詠むこと。朝日俳壇でも数回入選を果す腕前。しかし教師は「俳句だけでは食べていけませんよ」「おばぁちゃんが半分作ったと思ってました」と冷徹な反応。凜くんは素晴らしい感性の持ち主です。伸びやかなウェーブをここで断ち切ってはならない。次作刊行への切符は私たちが本書を読み、彼を知ることで応援出来ると信じている。2013/07/06
ムーミン
48
凜くんの透き通るような言葉、表現力に涙しました。2021/09/24
ふみ
44
コーヒーを飲みながら。いじめから 不登校を選択した小学生 小林凛くんの句集。あんまり この手の企画ものは好きじゃないんだけど。 いろんな背景を抜きにしても、彼の俳句がとてもよかった。2015/02/03
Y2K☮
43
「学校が死ぬほどつらい子は図書館へいらっしゃい」という図書館司書のツイッターを思い出した。不可欠なのは家族の理解。この本の真の主役は著者の母親と祖母だ。学校に何度も足を運んでいじめの現状を訴え、家で勉強を教え、俳句への関心を尊重して応援してくれる。頭が下がる。凛くんが生きがいを見つけられてよかった。自殺や犯罪まで至らなくても黙って耐えている子は多いと思う。今耐えないと社会に出てから云々という日本的な苦労幻想はもうやめよう。戦争や震災で古い価値観が打破されても又同じ殻に包まれる。みんなと違ってていいんだよ。2015/10/23