内容説明
日本国憲法の誕生は、わが国従来の教育行政と学校法制を、自治・分権・公開型のそれへと全面転換させるはずであった。しかし、現在なお憲法上の要請と現実の教育構造は乖離し、いわば「日本国憲法の明治憲法的運用」が続けられているのも事実である。本書は、こうした背理をやむを得ぬ「現実的要請」とする見解を、現在の教育行政の憲法原理に基づく詳細な検証と、諸外国の学校法制との比較研究を通じ鋭く批判し、教育における国民主権の一層の貫徹をめざす。
目次
明治憲法下における官治・集権行政と学校法制
日本国憲法と教育の地方自治
教育主権と国家の教育権能
ドイツにおける教育主権と国家の学校監督権
ドイツの教育法制における国と地方の権限配分
日本国憲法と教育の自由
国家の教育権と国民の教育権―教育権論争とは何だったのか
教員の教育上の自由
ドイツにおける教科書法制の構造
教員の研修法制
ドイツの学校経営法制と校長の法的地位
親の教育権と公教育運営への参加
私学の自由と公共性の法的構造
東京都杉並区立中学校「夜間塾」の憲法・学校法学的評価
オランダにおける教育の自由と学校の自律性の法的構造
著者等紹介
結城忠[ユウキマコト]
1944(昭和19)年、広島市に生まれる。広島大学政経学部卒業。大阪市立大学法学部を経て、広島大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。国立教育研究所研究員・主任研究官・室長、ドイツ国際教育研究所客員研究員、国立教育政策研究所総括研究官を経て、現在、上越教育大学教職大学院教授。国立教育政策研究所名誉所員。前日本教育行政学会会長。博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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