出版社内容情報
渡辺京二[ワタナベ キョウジ]
著・文・その他
内容説明
維新以来の近代国民国家建設の過程で、支配される人びと=小さき人びとが、その大変動をどう受けとめ、自身の“近代”を創り出すために、どのように心を尽くしたかを描く壮大な物語。『逝きし世の面影』『江戸という幻景』『黒船前夜』『バテレンの世紀』に続く日本近代素描!!
著者等紹介
渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年、京都市生まれ。日本近代史家。主な著書『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)、『黒船前夜―ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞、洋泉社)、『幻影の明治―名もなき人びとの肖像』(平凡社)、『バテレンの世紀』(読売文学賞、新潮社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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勝浩1958
7
ここに登場した人達は決して小さきものではありませんでした。日本を少なからず揺さぶったと思いました。2022/10/25
古本虫がさまよう
5
進士慶幹氏の『江戸時代の武家の生活』によると、「仕事は将軍のつける兜を奉持することで、こんな仕事に何十人とかかっているのだから、長州や薩摩の実践配備された部隊に敵うはずがない」という武士の日記があるそうな。自衛隊は、江戸末期の幕府の武士のように、そんなにヤワではないと思うが、昔の日本軍に比べると、「サラリーマン化」しているとは言われることもあるようだが……。さて大丈夫か?それにしても、渡辺さんは1930年生まれというから、92歳。お元気に執筆活動中のようでなによりですな。この調子でがんばっていただきたい。2022/08/31
Terry K
4
「逝きし世の面影」以来の楽しさを感じながら読んだ。幕末から明治にかけての様々なエピソードから、取り上げられた人々の個性や世の中の風潮が実に生き生きと浮かび上がってくる。著者の面目躍如というか、変に偏りのない、フェアな歴史観というべきか、読んでいて小気味よい。歴史の教科書からは決して学べない、でも歴史の「本当」はここにあるよ、と呼びかけている本に思えた。2022/08/15
ゴロチビ
3
昨年7月の発行だが緒言には9月までの連載原稿は書き上げたとある。「1」と題したこの本の続きはあるのだろうか?著者の本はまだ7冊目だが何となくお人柄が好ましく勝手にセンセイとお呼びしていた。別の本に、いつか川路聖謨を本に書いてみたいとあり、多少でもこの本で紹介されていたのが嬉しい。江戸という時代への印象が変わらざるを得ないのは「逝きし世の面影」の時と同じ。維新から百数十年を経てようやく江戸時代を客観的に評価できるようになったんだとすると、維新の主体となった諸藩の徳川家への恨みって相当なものだったんだと思う。2023/04/28
tharaud
2
「いつ死んでもおかしくない」と著者ご自身書いているが齢九十にして健在。2021年4月に始まった新聞連載第1巻。幕末維新の動乱期を生きた人々の生が活写されていて、読んで背筋が伸び、勇気が出る。黙阿弥と円朝を扱った最終章の失速が気にかかるが、大逆事件、いや関東大震災までお元気で書き上げてほしい。2022/11/08