内容説明
天然痘、コレラ、スペインかぜ、ハンセン病、そして新型コロナウイルス―感染症=伝染病の流行があぶり出すものを見極める。危機的な状況を転機に、経済効率よりも命や暮らし(文化)を優先する社会へ。
目次
第1章 天然痘と種痘―絶望と「歓び」
第2章 明治一〇年のコレラ流行―戦争と感染症
第3章 明治一二年のコレラ大流行―「文明」と「蒙昧」のあいだ
第4章 スペインかぜ「猖獗」なり―パンデミックの現実
第5章 ハンセン病―偏見・差別・隔離・隠蔽
終章 新型コロナウイルス感染症―コロナ危機でみえたこと
著者等紹介
長野浩典[ナガノヒロノリ]
1960(昭和35)年、熊本県南阿蘇村生まれ。1986(昭和61)年、熊本大学大学院文学研究科史学専攻修了(日本近現代史)。現在、元大分東明高等学校教諭・歴史著述家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぺんぐぃん
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図書館の開架で見つけ、借り出し。医師ではなく、歴史著述家の著者が20年6月に新型コロナも含め、天然痘、コレラ、スペインかぜ、ハンセン病について社会学的に述べたもの。戦前は保健衛生は警察が担っていたこと、戦死者の死は尊いものとされ、病死者の死は忌み嫌われていたこと、スペインかぜがなぜ忘れられたのか等興味深かった。日本独特の「同調圧力」「自粛警察」や「命の選別」やハンセン病の差別とコロナ禍の差別の比較も示唆に富む。100年前に経験したスペインかぜと現代の新型コロナの対処法に変わりないのには唖然とする。2021/04/09
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