内容説明
国破れて新聞あり。GHQの占領下、温泉観光都市・別府で検閲を受けながらも発行された52種類の新聞が、収蔵されていたプランゲ文庫から甦る。その活字の向こうに地方の名もなき人々の声が聞こえる。
目次
1 占領下の新聞は語る(引揚・住宅難・闇市;複雑怪奇、泉都はいつも起きている;民主日本への歩み;商都として;占領期のブログ)
2 占領下の新聞紙面に見る世相(昭和二十一年;昭和二十二年;昭和二十三年;昭和二十四年)
著者等紹介
白土康代[シラツチヤスヨ]
昭和22年、大分県別府市生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程満期退学(フランス文学専攻)。大学非常勤講師、日本文理大学(平成24年退職)をへて、現在「大分プランゲ文庫の会」主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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冬佳彰
14
敗戦当時、人口6万5千人だった別府の人口は、引揚者や基地労働者、復員兵、戦災孤児、街娼などの流入により10万人を突破する。市街中心部の人口密度は日本最高となる状態だったらしい。その別府で敗戦後に発行された様々な新聞を紹介した本。そのソースは、GHQ検閲制度を通過した占領軍資料が持ち帰られた「ブランゲ文庫」による。今も昔も日本の行政では「歴史的な価値を持つ資料のため保管」という考え自体が発生しなかっただろうな。これらの紙面がかなり面白い。政治、社会運動、新興宗教の観点などで多数の新聞が出されている。(続く)2023/05/01
i-O
0
別府という土地が、戦災を免れ非常に発展していたということを知らなかった。種々雑多な新聞が発行されていて興味深い。中には『学級新聞』並みのものも。 2021/04/26