感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
№9
20
本書は、多国語を操る通詞として単なる通訳官以上の存在感でもって、幕末の外交に大きな役割を果たした森山栄之助の伝記であり、幕府の外交通史である。長い間の鎖国で外国との丁々発止の外交経験のない幕府が、いかに右往左往しながらも開国の道を開いていったかが生々しく迫ってくる。後に不平等条約と言われる各国との条約も当時の幕府に出来たギリギリのものであり、連合国の圧力を考えればやむを得ない状況だったのであり、攘夷を叫ぶ暴力が日本外交を振り回したと説く。後の薩長の明治新政府に黙殺された幕末の幕府外交史を再確認させる書。2016/02/02
tohoho
1
鎖国時、必要とされた外国語といえば、中国語とオランダ語だが、幕末になると英語・仏語・露語の重要性に気付いた幕府は、オランダ通詞に学習を命じ、森山栄之助も英語のみならず仏語も多少習っていたという。竹内遣欧使節団を追う形で英公使のオールコックに同行、1年近くの歴訪後、日本は攘夷の嵐の中で動静がはっきりせず、子供達を残して51歳で逝ったのは淋しい。墓所は巣鴨の本妙寺にあるのだが・・2021/03/29
muko1610
1
★★★★2008/12/02